第30話 だから俺は、今日最後の日に想いを伝える事にした
「俺、お姉さんに言いたいことがあって!」
一二月のクリスマスの日。街中の道路に佇む
冬なのに、物凄く体が熱い。
だが、そんな事を気にしている余裕など、今の武尊にはなかった。
「俺、元々好きで、少しでもいいから付き合ってほしいんだ!」
武尊は本音で言った。
「……それは嬉しいんだけど」
美人でスタイルの良いお姉さんから返って来たセリフは曖昧なモノだった。
全身全霊で挑めば、すべてが上手くいくとは限らないのだ。
再び体が熱くなる。
綾乃も頬を紅潮させていた。
なんせ、冬なのに空が物凄く赤黒い。
上空にある、それは隕石だった。
今まさに世界が終わる直前なのだ。
告白とか、そんな事をしている状況ではない。
しかし、隕石が直撃する現実からは逃れられず、大半の人がもう諦め、好き勝手やっている。
失うものがないなら、迷わず立ち向かった方がいいと考え、武尊は本気で告白していたのだ。
「ま、まあ、いいわ」
茶髪のロングヘアを触りながら、武尊に近づいてきたのだ。
「え?」
武尊はドキッとしたまま、環境の暑さではなく、本当の意味での胸の温かさを感じていた。
「だから、武尊と付き合うから」
「本当に?」
「うん、だからさ、最後に、どこかに行こ。武尊!」
綾乃が差し伸べてくれた手を掴む。
それからの記憶はもうない。
体が熱いとか、そういう次元ではなかったからだ。
学園系ラブコメの”ショートショート作品”集(SS作品)Season1 譲羽唯月 @UitukiSiranui
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます