明るい幼馴染、『バグ』っている私

物語は、幼馴染のサエが明るく話す場面から始まる。
給食を食べ終えたのか、大声で騒ぐサエの前で主人公の『私』はまだ給食を頬張っている。
『私』は、あまりポジティブなことを考えない。
自分を卑下し、サエに冷めた態度を取ることもある。
文中では、そんな『私』の感情の揺れとサエの言動の対比が瑞々しく描かれている。
本当は『私』は、全てを吐き出してしまいたいのかもしれない。
給食で食べたものの味のように。
最後はまた、サエの明るく笑うシーンで締めくくられる。
その時、『私』が感じたことは――

『私』がサエに引いた線は、どこまで有効なのだろうか。

処女作にも感動を覚えたが、一次創作2作目でこれほどの作品を書けるとは。
末恐ろしいとはこのことかと思わせられる逸品。
同じ物書きとしては良くないのかもしれないが、もはや嫉妬など感じない。
ただただ、応援して成長を見守りたいと思う作者に出会えたことを、私は幸運に思う。