これからの時代はNISAじゃなくてKOZA
脳幹 まこと
KOZAって何?
二階でだらけていたら玄関の呼び鈴が鳴った。
階段を降りて出てみると、お隣の
何か用かと聞いてみると、彼女は随分と芝居がかった口調でこんなことを言った。
「ねえ、
ない。あったとしても、あんまり話したくない。彼女の娘が、息子の
常人では自分の一人娘に「
当たり
「世間は
KOZA? なんだそれは。NISAですらさっぱりなのに、パチモンもいいところだ。危険な香りがプンプンする。
私の顔が
「ごめんなさい、説明が足りなかったわ。KOZAっていうのは、大阪生まれの
口座投資信託?
単語だけ聞くと真っ当そう。
「
何だか噛み合わない。
隋っていつの頃よ。しかも
やっぱり胡散臭い。思考に
「そうですか。では成果が出たらまたお話しくださいね」
自然な流れでドアを閉めようとするが、阻止される。
「信じてないのね?」
帰りたい。家だけど。
「だったら現物をここで見せてあげるわ」
いや、口座の通帳見せられても反応に困るんだけど。
と思っていたのも束の間、阿院ちゃんママが見せたものは私の想像を遥かに超えていた。
彼女が見せたものは……黒い光沢を放つ阝だったのだ。
「陽子さん、今しかないの。今を逃せばKOZAはどんどん人気が出てくる。つまり粗悪な海賊版も沢山生まれることになるわ。既に
それからも長時間まくしたてる彼女だったが、終わりは呆気なかった。
パトロールをしていたお巡りさんが、彼女の行為を強引な押し売りと判断したのだ。
声を掛けられた途端、ポロポロと阝をこぼしながら逃げていく阿院ちゃんママ。
捕まる直前、彼女はこんな言葉を
「ほら、阝だからネクタイピンにも使える」
・
今日あったことを旦那の
一通り聞き終えた彼は「これから
進は常識人だから、ぶっ飛んだ話を聞いても大人の対応が取れる。安心して会話が出来るのは大きな魅力だ。
やっぱりおかしいよねえ、と本音を打ち明ける私。彼はこくりと頷きながらも、どこか普段と違う感じがする。
何かあったのと聞いてみると、彼は何だか堅苦しい話をし始めた。私なりにまとめると「このままだと日本がヤバい。日本円以外の資産も必要だろう」ということだった。
話を聞いていくと、次に何が来るのか何となく分かってきた。
未来が見える人ってこんな気分なのかな。最悪だ。
「先輩に勧められたんだ。二つあったんだけど、どうせ選ぶなら新しい方にした」
確かにNISAって新がつくものもあった気がするけど、あれって所詮は何でもかんでも先頭に「シン」ってつける流行だと思ってたわ。
NISAと新NISAってどう違うんだろ。
「でも、危なくない? 素人が手を出して何とかなるの?」
「それが大丈夫なんだ。需要はこれからも続くだろうし、いざとなったら自分で使うことも出来るんだって。安心だよね」
どっかできいたことがある文句だ。
「……その名前って何なの?」
私の質問に対して「興味を抱いた」と受け取ったのだろう。
進は心底嬉しそうな顔で宣言した。
「
即、旦那の顔面に平手をぶちかます。
きょとんとした彼を置いて、私は陸のいる二階へと上がっていった。
今までの信頼のバルーンがぶしゅう、と
これからの時代はNISAじゃなくてKOZA 脳幹 まこと @ReviveSoul
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