現代の世相を反映した、心の闇に向きあう伝奇サスペンス

新興カルトに家庭を破壊されたという、センシティブな背景を持つ主人公。

葛藤を抱えつつ、それでも前へ進むもうとする姿と、立ちはだかる不気味な存在の対比が魅力であり、次へ次へと読み進めてしまいました。

そのスピード感は魅力なのですが、台湾編で登場する蟲毒師の老婆やその孫が、どうやって恨みを乗り越えたか、その背景が気になりました。

また主人公自身も最後の決断、いっそ相手を嚙み合わせて殺し合いをさせてしまえという負の感情を捩じ伏せる場面では、私ならとてもとても出来ない、もっと深い葛藤に陥ってしまうと、共感しきれない部分はありました。

ただ、それでは他の方が評価しているスピード感も落ちてしまうかもしれません。

その辺り「こいつ何言ってるんだ?」と思われた方は、是非ご自身でお読み頂き、それぞれの読後感を噛みしめて頂ければと思います。

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