元日の午と夜
紫鳥コウ
元日の午と夜
起き抜けの身体が暖房を求めてしまうのは気持ちを同じくするが、
昨晩、「このお年玉を子どもたちに渡すように」と、妻に頼んでおいたのだが、ちゃんとお礼を言いにきてくれるおかげで、読書に没入しかけていたところを、襟首をぐいと掴まれた。
A教授は、
翔太はあどけなく
「とんだところを見られましたね」
照れ隠しにそう言ってしまったが、お隣さんはそんなことに
「Aさん、今年もよろしくお願いしますね」
かしこまった口調で挨拶をして、すぐに家に引っ込んでしまった。
大学での用向きは、家に持ち込まないことにしているから、少々、退屈なときを過ごすことになった。そこでA教授は、
A教授は、椅子と机の間を狭めて、その隙間から、先ほどまで読んでいたものとは違う
夕方近くになり、親戚一同は、この家から
ちゃんと桐箪笥の奥に鍵を隠したかどうかを気にしながらも、どっと疲れていたA教授は、それを確認しに書斎に戻ることはせずに、初夢を迎えに眠りに落ちていった。
雪だるまの上のバケツが落ちる音は、誰の眠りを覚ますこともなかった。夕方にさらに降り積もった雪の上に落ちたのだから、なんの不思議もない。それにしても、月がでていないのに、妙に明るく感じる夜である。…………
元日の午と夜 紫鳥コウ @Smilitary
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