ざわめくざわめく

西しまこ

支配

ざわざわざわ ざわざわざわ

封印された扉が開き、不穏な音がじわりと広がる

染みのように


世界は春の歓びで溢れているのに

桜の花びらの絨毯が薄汚く踏み荒らされていくさまが

かちゃりと扉を鍵を開くのだ


ざわめく ざわめく

波立つこころ 

ざわめく ざわめく

息止まりそうになる


染みのように消えない汚れのように

桜の花びらの絨毯が薄汚く踏まれていくように

じわじわじわと光を制圧していく


見てはならない

その扉の奥にあるものを

こころを砕く、刃があるから


ざわめく ざわめく

鎮まれ鎮まれ鎮まれ

ざわめく ざわめく

支配されてしまう あの黒い塊に


黒い羽根がわたしを攫う

もう遠い過去へといざな

涙を流しながらわたしはそれを見る


どうしていつまでも、そこにあるのだろう

どうしていつまでも、消えないのだろう

ざわざわざわ ざわざわざわ

黒い旋律が漏れ出て、耳を塞ぐことも出来ない


支配を

捨てたはずだった

支配に

抗ったはずだった



でも、それはそこにある

永劫に



せめて、扉を閉じて鍵をかけよう

せめて


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ざわめくざわめく 西しまこ @nishi-shima

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