第56話

「あーはっはっは!見たまえ!鉄壁くん!敵がゴミのようだ!」


 どこかで聞いたことのあるようなセリフを言うエデソンに鉄壁はどっちが悪役なんだかわからんなと思いつつ射撃を開始する。


「そうだよ鉄壁くん!ドンドンやってくれたまえ!撃てば当たるぞ!どこもかしこも敵だらけだ!派手にやっておくれよ!」

「派手にやったら一般人を巻き込むぞ?それは流石に……」

「バルサクだよ?一般人の避難誘導はちゃんとするさ、君たちといっしょにしないでくれよ」

「我々もちゃんと……」

「やってたらこんな嫌われてないでしょ、ほらご覧よ!一般人がスーパーギャラクシーピュアロボを見て嫌悪感を持って逃げてるよ!近づいてあげようか?」

「やめろ……。それに、あれは自爆するからだろう!あの怪人共が!」

「だったらもっと早く逃げればよかったしそれを指示するべきだったんじゃない?だからだよ、向こうだって意志を持って自爆してるわけじゃないと思うしね~」

「…………それにそれは政府の仕事だ」

「そう言うとこだと思うよ、地球防衛軍なんだから地球だけじゃなくて人々も防衛しないと。むしろバルサクのほうが住むからこそ地球にやさしい時点でどっちが地球防衛軍かわかったもんじゃないよね。核も馬鹿みたいに撃ってくるしさぁ」

「私がここで一般人を射撃したらどうする?」

「────しないよ、する人間が地獄への旅路へ来るわけ無いだろう」

「破滅願望を持ってるかもしれない」

「今更そんな話をするのかい?そうだとしたらあの5人はとうの昔に死んでるし……君は処刑されてるんじゃないかな?」


 君はそんな人間でもないし、僕だって死ぬかもしれないのに最後の相手に選びたくはないさ。


 小さく言った声はしっかりと鉄壁には届いていた。

 気恥ずかしさで言われた鉄壁も言ったエデソンも互いにそれに反応することはなかったが。


「逃げ遅れた帝国兵だ!」

「ぶっ放しなよ鉄壁くん!ハリー!ハリー!」

「お前……それはそれで良いのか?」

「今は敵だよ!恩ある相手にはどうせ効かないしこの程度で死なないから問題ないよ!僕らが演じるのは一流の悪役だよ!ほらほら!やり慣れてるでしょ?」

「別にあれは悪役をやっていたわけではないんだが……」


 そう言いつつも撤退するバルサク宇宙帝国兵を射撃で粉砕していく鉄壁。

 道路の修繕費は大変そうだなと他人事に考えつつも機械的に、あるいは昔を思い出して射撃をしていく。

 目測で良いのは楽だな、自動調整も機会がやってくれる、戦争も演習も訓練もこうして個人の技量が不要になっていくんだな……。

 なんで俺のときにこんなに楽ではなかったんだろうなと思いつつもこの技術ってエデソンやバルサクのものだから大差ないかと思い直して雑に射撃を放っている。


「あっ!」

「どうした!問題か!」

「あー……今撃ったの……結構有名な将軍だね。繧イ繝ウ繝峨Ο繝舌そ繝?ヨ、前の星間戦争で敵地を破壊した名うての……ん?」

「は?何だって?」

「あれ?ここでは未知の言語かな……?うまく翻訳が機能してないのか、地球の言語では発音不可能か……。まぁいいか!もう名前を呼ぶこともないしね!アハハハハ!」

「お、おう……」


 発音不可能な謎の将軍が射撃によってふっとばされ生死不明になったが立ち向かう兵士も逃げる兵士も蹴散らしていくスーパーギャラクシーピュアロボ。

 それは将軍の生死不明が不明の中でくずれ落ちていく防衛戦線を最後にレーザーで焼き払い飛翔した。


「これ5人に見えてたらどうする?」

「見えてないよ、ヘーキヘーキ。今映画流してるから」

「そんな機能にこだわったのか?」

「死体が消える敵の兵士や怪人が死ぬことに耐えられても一般人が無惨に死ぬことに耐えられる人間がどれだけいるんだい?君だって自衛隊の時に遺体を目をしても平静でいられる自信はあるの?」

「それも……仕事のうちだ」

「じゃあ給料支払ってない相手にはなおさら無理だろうね。あの子達先生のグロ写真見て和気藹々話し合うタイプ?」

「いや、わからんが」

「あれ?この世界の若い子ってそれで楽しめるの……?」

「いや、多分楽しめないと思う、ただあの子達がわからないと言うだけで……」

「そこは一般論でい良いと思うよ……。倒した敵が消えるのなんてゲームと同じでもあるしね、実際に一般人の死体は見たことないんだろう?そもそも、わざわざ見せるものではないよ」

「それもそうだな」

「それに画面を映画見えるように改造するんなんて5分で十分。生臭いリアルな死を見るくらいなら作り物の恋愛ドラマを見たほうが良いさ」

「これからはもう見なくて住む生活を……なにか来たぞ」

「空中戦の怪人か、まぁ小さいが飛べるし力はあるな。グアラクシー!えーとバリア!」


 空中で謎の被膜に弾かれて弾き飛ばされる怪人たち、同時に巨大化しながらも不可を超えすぎたのか爆散していく怪人。

 バリアとは思えない威力で墜落してくる怪人たちを弾き飛ばし殺していくその様はまさに悪役としか言えないものであった。


 宇都宮防衛戦の崩壊で動き始めたシーザは怪人たちが爆散していく情報を聞いて防衛戦を立て直すために指揮を取る。

 最もどこを襲撃するのかを読めきれはしなかったが……。

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転生したらニチアサっぽい世界の敵幹部になってた @masata1970

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