第5話 そして

ヴァンパイアの気配がないと確信したのだろう、着の身着のまま出てくる「彼」。


距離を縮める私。


「どうしても伝えないといけないことがあるの」


「どうしたの? 急に」


「…相変わらず、綺麗な艶のある肌ね」


「え、そうか? へへ」


恥ずかしがる姿がなんともいえず可愛らしい。その手を取る。伝統にのっとって、喉を噛んでもよかった。しかし、違う部位を選んだのは私のプライドか。


「レ、レム…?」


祈りを詠唱されてはたまらない。いきなり銀の武器で貫かれては危ない。私は躊躇うことなく、「彼」の手首を自分の口に近づけて、そして…… “


ーーーーーーーーーーーーーーーー


日記はここで話を終えている。僕は、ロザリオを首にかけた。朝日が差しこんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

狩られるものども 博雅 @Hiromasa83

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説