限定SSより イリアへのダメ出し
512話ナノへの課題~後の話です。
あたしの戯曲に高位貴族専用のオーナーと舞台監督からダメ出しがきた。
「前半のストーリー。あれはそのままで結構です」
よかった。あれは私の代表作だからね。自信あるよ。
「問題は後半のダンス、歌、そして寸劇の構成ですね。メイド喫茶の話は全部ボツにして下さい」
は? あれはレイシアから注文受けて作った所だよ。スポンサー案件じゃない!
「確かにスポンサーの意向は重要です。レイシア様がこのような、演劇を使って店舗を紹介するという画期的な方法を見出したことも評価いたします」
「だったら」
「ですが、この度のお客様には不向きな演目になります」
「なぜでしょうか」
「メイドが給仕を行う。それは貴族にとっては当たり前すぎることだからです」
確かに。言われてみればその通りだ。
「平民街で流行しているのは、普段メイドなど雇えない平民や法衣貴族が、高貴な貴族ごっこを楽しんでいるからではないでしょうか。日常的にメイドがいるご夫人方にどのような感動や宣伝効果がありますか?」
「……ありませんね」
「そうですよね。執事喫茶はまあまあの出来です。あれをブラッシュアップして長めに作り直してください。そうですね。他にもレイシア様の販売する新商品を使ったコントなど作りましょう。できますね」
はい、って返事しかないんでしょ! やりますよ。
「公演日は一週間。毎日来られる方々ばかりです。必ず、新しい箇所を作らなくてはいけません」
「えっ!」
「当たり前です。新鮮味が必要なのです。歌、寸劇、そこら辺の台本のストックをお願いしますね」
「え、え~と。演者が変わるとかでは」
「それで味わいが変わるのならOKです。はっきりと分かるように」
「はい」
「そういえば、レイシア様が初日に立った舞台、ものすごくよかったと聞いております。レイシア様に一日役者として出て頂くのも良いかもしれませんね」
あたしは、次々に出される注文をメモしながら、無理じゃねえの、って思っていた。
レイシア、あんた役者として押されてるよ。それで一つクリアならレイシアに頼み込もうかな。
歌とか踊りはナーシャ先輩、いやナノ団長に任せよう。
今日は徹夜だね。とりあえず、執事喫茶の寸劇、書き直しだ。
それでも、最後に褒められたから、やる気が出たよ。
喫茶黒猫甘味堂で時間まで書く! そして自分へのお土産にバクットパン買って帰ろう。クッキーもね。書き上げた後の自分へのご褒美のために。
※※※
サポーター限定ですが私が休養中で本編書いていないので、クリスマスイブに閑話集へ出しました。
サポーターの皆様、ありがとうございます。
メリークリスマス&よいお年を!
貧乏奨学生レイシア 閑話集5 ラノベ関係 みちのあかり @kuroneko-kanmidou
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