運転士
ああ、なんということだ。今日初めて人を轢いた。鉄道運転士となって3年、初めて死を目の前で見てしまったのだ。同僚からは、「災難だったな。」と言われた。ああ、そうだ。災難だとも。だって彼女の後ろに居た男と目が合ってしまったのだから。
妻よ、すまない。私は自らの意思で職を失う。もちろん怒るだろう。君に怒られるのはとても恐ろしい。だが、それよりも何倍と恐ろしいものが私を追っているのだ。あの死を目にして笑っている男が。
人倚鉄道 波多野古風 @hatako-74
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