裏の神様の言うとおり
日間田葉(ひまだ よう)
まるくなった話し
昔あるところにそれは仲の悪いお爺さんとお婆さんがいました。二人は顔を合わせると喧嘩をしては物を投げあったりしておりました。
ある日の事いつものように二人が喧嘩をした時にお爺さんが持っていた鍬が手元から飛び出して鳥居に傷をつけてしまいました。神様はたいそうお怒りなり二人を石像に変えてしまったそうです。
その石像は3尺ちょっとくらいの大きさで喧嘩の最中に石にされたためかどちらも鬼のように怒った顔をしていました。
このままにしておくにはいかないと石像になってしまったお爺さんとお婆さんは村人により手厚く供養されました。神様にはたくさんの供物を捧げ許しを請い二人の石像は境内の片隅に並べて置くことになりました。
ですが仲の悪いのは石像になっても変わらなかったようです。村人がたまにお供えに行くと決まってお爺さんの石像が倒されております。
何度も倒されているうちにお爺さんの石像が欠けたり割れたりしてきたので二人を離して置くようにしました。ですが気がつくとお婆さんの石像がお爺さんの石像の隣まで来ています。
たまたま居合わせた村人の話しではお婆さんの石像がゴロゴロとお爺さんの石像まで転がって行っていたそうです。それも何度か繰り返すうちにお婆さんの石像も割れたり欠けたりしてきました。
そうこうしているうちに二つの石像は首から上だけになりました。転がるうちに角もとれてすっかりまん丸です。
それを見た村人が口々に丸くなった丸くなったというので石像の顔がどんどんにこやかになりその後は仲良く並んだまま転がることもなくなったということです。
おわり
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※3尺ちょっとは114cmくらいです。
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