第3夢【I want to you.】君は嘘つき、私も嘘つき…
今日の朝は夏にも関わらず寒かった。
家を出た私は失踪前、恋宮に貰ったメモを頼りに自転車を走らせていた。
一昨日だったか、図書館での勉強の約束をする際、貰った恋宮の家の地図だ。
「恋宮の顔を見たい」恋宮を探すためにもまずは、恋宮の親を尋ねた。
家のチャイムを鳴らして出てきた女性は、顔色が悪く恋宮の母親と分かるまでに少し時間を要した。
『どなたですか?』
私は恋宮の友人であること、恋宮を探していること
、情報を集めていることを告げると少し困った顔をして話を始めた。
『娘が具体的にどこへ向かったか、分かりませんが失踪した理由なら少しわかると思います』
そう言うと恋宮の母親はひとつの紙を見せてくれた。
『娘が家に残した手紙です、そして君にも送った手紙だと思います。』
_______________________探さないでください。
私のために生きるのをやめて
_______________________とだけ書いあった。
『君が来た時にもしかしたら、娘は君に当てたのかなと思って…』
そう言うと恋宮の母親は少しだけ後ろを向いた。
その背中にお礼をいい、手紙を写真で撮り、家を後にした。
「笑っていたのにそれは無いだろ」
少し空を見上げ、呟いた。
恋宮は一体どこにいるんだろうか、何を考えているのか。
「俺の事、嫌いじゃねぇよな」
少しばかりの不安を吐き捨て、顔に着いた雨粒を拭き、私は次の目的地へと向かった…
誰かのため @Nimya_Romagerni
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