第55話 ナンパ

なんと…巨大な目の持ち主は、巨大なイカだった。

体色が真っピンクの、デカいイカだったのだ!イカが空を飛んでいるのだ!


急いで車へ走って戻るモコローとロック。だが、どこからともなく無限に湧いてくる黒い雲によって視界が閉ざされ、前に進めない!


「おいどこだよ車は⁉︎あれ、モコローはどこだ!」


「ロック〜ドコニイルノ〜⁉︎」


分断されているではないか。ここに来てシリアスな回である。


「あ、いたモコロー。おい車の位置わかるか⁉︎」

「ちょっと待って!」


見上げると、黒い雲の隙間から出てきた巨大なイカと、目が合った。イカは触手をブンブン動かして、モコローたちの方へ軌道を変える。


「うわこっち来たし。なんだよあのイカは…」

↑ロック


↓モコロー

「ま、魔獣まじゅうだ…」


「へ?魔獣ってなんだよ!」


「魔力を持った獣の総称だよ。あのイカの名前は確か…ダイオウイーカ!」


「安直すきるだろ…あのイカの命名者…」


イカが黒い雲と一緒に迫り来る。ロックはモコローの手を引っ張って、全力で走った。


「早く車に戻るぞ!無理そうなら…戦うしかないのか⁉︎モコロー、奴を射撃して能力を獲得できるか⁉︎」


「待って今やってみる」


ズバァァァァァァァァァァァァン


指鉄砲をお見舞いしたモコロー。だがなんと、何の能力も得られませんでした!


「なんだと⁉︎」

「なら周りの黒い雲を撃ってみよう」


「え、無生物でもできるんだっけ⁉︎」


モコローの姿が変わった。マシュマロのような帽子を被った彼は、イカの前に立って叫ぶ。


わたくしの名前はッパウダー2世ッ。帝都パウロパのッパウダーの長男でごさいますッ」


「うわ紳士みたいな性格かよ。性格ガチャ失敗したな…」


イカは構わず迫ってくる。モコローも真剣な顔で…汗を流しながらも叫び続ける。


「私は家でッ506坪のッ敷地をッ管理していますッ。良ければッあなたとッ入籍される際にッあなたに土地のッ半分をッお譲りしましょッ」


ロックはイカをよく見てみた。なんと黒い雲は奴の体から放出されているようだった。


「あいつ、空気中に墨を吐いているみたいな感じなのか⁉︎って、ま、待って!」


なんと黒い雲が漂った場所に生えている植物が、早送りしたかのように次々と枯れていくではないか。


「モコロー、黒い雲に触れるな!汚染されるぞ!」


「今夜はッお食事にッ行きませんかッ、ダイオウイーカ様ッ」


「おい聞いてんのかよ…」


「すでにッ私がッ予約してあるッ5つ星レストランがッございますッ。もちろんッ全て私がッ会計いたしますのでッ何もご心配いりませんッ」


「聞いてんのかァァァァァァァァァァァァァ!!」


ズドォォォォォォォォォン


ロックがモコローの顔面をぶん殴った。


「な、何をするのです⁉︎」


「お前…ナンパの仕方すげぇダセェェェよ。早く逃げるぞ!」


「お待ちください!最後に!どうかッ私とッ付き合ってッいただけませんか⁉︎」


イカに向けてモコローは跪いて指輪を出した。真剣な眼差し…ビクリとも動かない態度。

だがイカは触手で指輪を弾き飛ばした。


「⁉︎…」

「恋愛なんてそんなもんだろ。逃げるぞ!」


「このピンクがァァァァァァァァァ!」


怒鳴るモコロー。ロックが頭の上に彼を乗せて逃げている最中、モコローはずっと怒鳴っていた。


「あなたを詐欺罪と器物損壊罪で訴えます!理由はもちろんお分かりですね?あなたが指輪をこんな触手で倒し、私の恋心ハート破壊ブレイクしたからです!覚悟の準備をしておいて下さい。ちかいうちに訴えます。裁判も起こします。裁判所にも問答無用できてもらいます。慰謝料の準備もしておいて下さい!貴方は犯罪者です!刑務所にぶち込まれる楽しみにしておいて下さい!いいですね!」


「怒ってんのか惚れてんのか どっちだよ…」


バシッ


迫ってきた触手によって転んでしまったロック。2人は黒い雲の中で完全に迷子である。

こうなったらもう、戦う事を視野に入れる必要がある。


「や、やれるか…モコロー…」


「…ロック様、お任せを。最後に一言、よろしいですか?」


「おい最後だなんて、そんな事を言うな」


「では、今回は言いません」

「あ、言わなくて良いんだ」

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モコロー3 願いの子と烏帽子 まめでんきゅう–ねこ @mamedenkyu-neko

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