0−2
カランッカラーンッ
扉を開けるとドアベルが鳴る。
(やっぱ似合ってねーなぁ……このさわやかな音)
まぁ、聞き慣れすぎてもうこの音じゃないと逆に似合ってねぇと思うんだろうけどな。
(……まぁ、もうすぐ聞き納めだけどな)
ゆっくりと進む。カウンターまで。
…………注目を一新に浴びながら…………
(…………まぁ…………そーなるわなぁ…………)
自分が遠い目をしてるのがよーく分かるが……止まらず進む。
ゆっくりと…………とある奴等を引きずりながら。
ズルッズルッズッズルッズッズッー
(…………視線がいてぇ…………)
きっと、おそらく、てか絶対いつもはこんなことは思わねぇ。
なにせここは良くも悪くも見られる場所だ。
理由は様々。値踏み、憧れ、嫉妬、畏怖、けど今は…………
(……困惑?好奇心?…………いや、こんな状態の奴等が来たら俺でも見続けるわ絶対)
こんな奴等が入って来た瞬間に凝視して成り行きを見続ける自信があるわ。二度見の余地すらねーよ凝視一択だわこんな状態の奴等。
「あー……いいか?」
「え?……あっ!?はい!!
ようこそ!!【冒険者ギルド】へ!!」
……着いたカウンターの嬢ちゃんに声を掛けると大分テンパってるであろう返事が返ってきた。
(……すげぇ凝視してたもんな……)
……瞬きを忘れるってあぁゆうこと何だろうなぁ。いやぁ、一つ勉強になったわぁ。……そー思わねぇとやってらんねぇわ。
「……ここ来んの初めてじゃねぇし、嬢ちゃんとも初対面じゃねぇぞ」
「あっ……すみません……つい…………あの……そ「聞くな」え?」
言いたいことは分かるし、見てる側からすれば是非とも聞きてぇだろうが……その当事者としては言いたくねぇーんだわ。
「手続きを[ウゴウゴウゴウゴッモゾモゾモゾモゾッ]……」
「…………あの「聞くな」…………」
ハァ。ため息を吐くと幸せが逃げると言うが、吐かなきゃやってらんねぇ、何ならここに来るまでに逃げた幸せより、今吐くため息を吐く方が大事だわ。
(……現実逃避ばっかしてんなぁ……年かねぇ……)
なお、身体に纏わりついている原因は見ない。見たくない。
「…………あの…………」
「…………手続き[ウゴウゴウゴウゴッモゾモゾモゾモゾッ]……」
「………………………………」
「………………………………」
ちなみに、対応してくれてる嬢ちゃんはここの看板受付嬢。
可愛らしい美人。そんな嬢ちゃんと見つめ合うことは大分役得だろう。嬢ちゃんがおっさんと見つめ合うことがどんなに嫌でも、おっさん自身は役得だろう。こんな状態じゃなけりゃな。
(……色気もへったくれもねぇなぁ。まぁ、おっさん相手じゃ元々ねぇだろうけど)
ハァー
「手続[ウゴウゴウゴウゴウゴッモゾモゾモゾモゾモゾッ]……」
「…………………………………………」
「手[ウゴウゴウゴウゴウゴウゴッモゾモゾモゾモゾモゾモゾッ]……」
「…………………………………………」
「テ[ウゴウゴウゴウゴウゴウゴウゴッモゾモゾモゾモモゾゾモゾモゾッ]」
「…………………………………………」
………………育て方間違ったかねぇ?
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