若返ってしまった俺等の第二の人生
こにすにす
第二の人生 前日
0−1
「あなたにはこのパーティーから抜けてもらう!!!!!」
そう声を張り上げ言ったのは、
この国で【勇者】候補に選ばれた青年。
そして、言われたのは初老に片足を突っ込んだおっさん。
それは別にいい。だって、
「……もう決まってることを叫ばれても困るんだがなぁ?」
そう、もう決まってる。抜けることは。
それも結構てか最初から、なーのーにズルズルズルズル先延ばされた。
何故なら、
「…………しょうがないでしょう………………
抜けてほしく無いんだから!!!!!!!!!!」
これだ。しかも、さっきより数倍声がでけぇ。
「そ〜ですよぉ〜!まだまだわたし達とぼーけんしましょ〜よ〜!!」
「そうです!そうです!まだまだ教えて欲しい事もたっくさんありますし!」
「そうそう!オレもまだまだあんたにゃかなわないんだ!勝ち逃げなんてズルいだろ!!!」
「うんうん、まだまだ動けるんだから働くべき、ボク達と」
勇者パーティーメンバーのガキ共もこれだ。
いやまぁ、嬉しいちゃ嬉しいんだけどなぁ。
教育係としては。
が、
「だーかーらぁ、何度も言ってんだろ?『約束』があるって」
そう『約束』。
まだ青臭いガキだった頃アイツ等とした。
ものすごく大事な『約束』。
(ま、ヘタすりゃ俺だけしか覚えてねーかもしんねーけど)
別にそれはそれでいい。
(充実した良い日々を送ってるってことだろうからな)
やりがえのある仕事をして、あったかい家庭を持って、何なら孫までいたりして?
(……あの頃にゃー、一切考えつかねぇことだがなぁ……)
でも、それでいい幸せならそれで。
「ああ〜〜!!またそ〜ゆ〜顔してる〜〜!!!」
「ズルいですぅ……!!ズルいですよぉーー!!!」
「なぁ!!ホントどーゆう『約束』なんだよ!!教えろよーー!!!」
「うんうん、激しく、激しく同意……!」
……毎っ回思うんだがそーゆー顔とは?
あと、さっきより声がでけぇ。
「やめないか皆」
お、さすが【勇者】様。諌めてくれるらしい。
「本人が話したく無いことを無理に聞くのは駄目なことだろう?『約束』という時点で大切な話なのは分かるだろう?」
そうそう。と頷く。実際、話したく無いのは本当のことだしな。
いやぁ、少し前までは
(成長したんだなぁ…………ガキ共が何故かめちゃくちゃジト目だけど…………)
「………………」ジトー
「………………」ジトー
「………………」ジトー
「………………」ジトー
「………………」プイッ
「……………………」ジトー
「……………………」ジトー
「……………………」ジトー
「……………………本音は?」ボソッ
「………………………………」フッ
「すっごく知りたい、めちゃくちゃ知りたい、話してくれるのを今か今かと待ってたけど話してくれなかったことがものすごく悲しい、それにそこそこ一緒にいるのにまだまだ踏み込ませてもらえてないのも悲しいし、そこまでの関係性を築かせてもらえ無かったのも悲しいし、関係性を築けなかった自分自身にめちゃくちゃものすっごく腹が立つけど何か?」
………………全然成長して無かったらしい………………
(…………何か?じゃねーんだよ…………何か?じゃ…………)
ハァとため息が出る。
慕われてるのは悪いことじゃ無いばずなのに、
本当にそうか?と、つい疑問に思っちまう今日この頃だ。
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