0−6(勇者視点)
「ハッ」
聞こえた声に目を向ける。
(あ……)
先生である彼が揺るがない目をしていた。
(……どんな結論を出したんだろう……)
先生は先生自身の "自論" ってやつがたくさんある。
それは、今まで先生が経験したこと全てで構成されていて、
先生の中の "自論" は先生にとってはすごく大事なことで……
(……だからこそ、一旦終わる結論を出した……)
『これから』の為に。
(……分かってる……)
それでも……
コンコンガチャ「入んぞー」
「いやいや、もう入ってるし。流れるようにノックと入室を一緒にすんなよ。返事を待てよ、おっさん」
「別にいいだろう?いきなり入って困ることしてる訳じゃねーんだから」
「そーだとしても。マナーは大事だろ?」
「相変わらずお前はガサツな方なのにそーいうのにうるせぇなぁ」
「ハッ。うるせーのがいたからな」
(あ……)
またあの顔だ。
先生がアイツ等と言う人達のことを話すといつもする顔……
(いいなぁ……)
うらやましいと思う。
関係が違うのは分かってる。けど、
(……僕達のことを話すときにあーいう顔をしてくれたりするのかな…………)
してほしいと思うのは、すごく我儘なんだろうけど……
「おら!お前等もそろそろ覚悟を決めろ!」
そう言われ思考の海から浮き上がる、
「気持ちよく送り出してやれ!」
……それは……分かってるけど……
「……黙って行かれるよりはマシだろう?」
「っ!」
それも……!分かってるけど……!
「おお、さすがおっさん
「「「「「!!!???」」」」」
パチパチパチ小さく拍手する先生にメンバー全員が顔を向けたのが見なくても分かった。
「まぁ、ドンピシャとはいかんだろうがだいたいな」
「そこそこ付き合いが長いだけはあるなー」
「……というより、コイツ等の面倒見る前はしょっちゅうふらついてたろお前、いや面倒見ててもたまにふらついてたが」
「んー?若けぇころはともかく最近はそんなだろー?」
「……ふらつく期間が短くなっただけだろが」
「そーかー?」
「月単位は普通に長いからな?年単位を基準にすんなよ?」
「あーーー……いや〜ジト目で見つめんなよ。照れるだろ?」
「話と目を逸らすな」
……目の前で話されているはずなのに、全く頭に入ってこなかった。
(
いつか来ることは分かってた。
……分かってた…………いや、
(見ないフリをしていた…………)
分かりたく無かったから、
(……ああ…………)
わざと言ったんだろう。
時間切れが近いって……僕等に自覚させる為に…………
(……優しいなぁ…………)
止まっていた涙がまた溢れてきた。
若返ってしまった俺等の第二の人生 こにすにす @konisunisu
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