0−5
ふかふかのソファって最っ高。
え?カウンター前に居なかったかって? ガキ共が泣き出したから、応接室の一つを貸してくれたんだよ。
だって、邪魔だろ?普通に。他にもいくつか受付カウンターはあっけど、営業妨害もいいとこだしなぁ。
「…………………あーーー……疲れたーーー…………………」
ただ、ガキ共運ぶのに俺以外の手を拒否しやがったから、俺一人で運ぶ羽目になったけど。せっかく引き剥がしたのにまた纏わらせる羽目になったけど。
あぁー……今年一疲れた気ぃする……。……今年始まってまだ3ヶ月ぐらいしか経ってねーけど。
「…………あーーー…………落ち着いたかぁ?…………」
「「「「「ギロリ」」」」」
…………真っ赤になった目で睨まれた……。そーですかまだですか…………。
(あーあー、鼻も真っ赤になっちゃって……)
一番近くに座ってる【勇者】の頭を撫でる。雑に。
「わっ」
「おっとこ前が台無しだなぁ」
すごく、雑に。
いいのかって?いーんだよ。ボサボサにしたところですぐ直っから。
(……………………羨ましけりゃ強請りゃいーのに…………)
誰か一人を撫でるといっつもだ。相も変わらず甘え下手共だ。
……あの頃からずっと。
(…………俺は変わったかねぇ?………………『約束』叶えようとしてる時点であまり変わってねーのかもしんねーなぁ……)
でもそれでも大丈夫だと俺は言える。
それだけの知識も経験も実戦も積んできたからな。
(……でも、こいつ等は違ぇ……)
知識も技術も教えた。
もちろんある程度の実戦も経験も積ませた。
が、それはあくまでも俺が居るから前提の実戦と経験だ。
(…………それじゃー駄目なんだよなぁ…………)
絶対的な保険、絶対こいつが居れば大丈夫だという保険はそりゃあ良いもんだろう。安心安全はそれだけである程度の無理、無茶が出来るってもんだ。
(それが悪いとは言わねぇ。それに胡座かいて努力、研鑽を怠けるよりゃずっと良い)
が、絶対的な保険ってぇのは無くなった時が一番危ない。
何かしらのイレギュラーで俺と急に離された時、それが戦闘中だったら?危険な仕掛けがある場所だったら?
(……似たような状況にわざともってって対処出来るよう仕込んじゃいるが……どこか俺が絶対来てくれると思ってる節があんだよなぁ……)
それがどれだけ危ういことか。
(……対処はしてる。体も頭も動かせてる)
それがどれだけ足を引っ張ることか。
(けどなぁ、最終的には助かるはずなんて少しでもほんの少しだとしても思ってるのはなぁ……)
そう思っての行動になんの意味がある?
「ハッ(ねぇよ)」
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