麗奈の肉肉ミートおっぱいグラインダー

北見崇史

麗奈の肉肉ミートおっぱいグラインダー

 麗奈は、手ひどく強姦された。

 マッサージ師である彼女は、スケベ客に日々セクハラされて気苦労が多かった。ストレスだらけの心身を癒そうとソロキャンプに出かけたのだった。

 山の中にある廃業寸前のキャンプ場で、焚火を起こして夕食のカレーライスを作っている時、突然現れた四人の男たちに襲われた。客は麗奈一人だけで管理人も日暮れ前に帰ってしまい、誰にも助けを求めることができなかった。

「おお、顔はたいしたことねえが、すげえ巨乳だ」

「乳のデカい女は久しぶりだべや、ひひひ」

 それっ、とばかりに四人の男たちに次々と犯された後、素っ裸で転がされた。これ以上の辱めはないと思われたが、嗜虐心に満ちたケダモノたちの執拗さは異次元のものだった。

 ナイフを振り回し、彼らの言う通りにしないと生きたままバラバラにすると脅迫した。ボロボロの身であるにもかかわらず、麗奈は従うしかなかった。

「まずは焚火を回りながらバカ踊りをやれ」と命令された。

 バカ踊りがどういうものなのかわからないが、刃物を目の前でチラつかされて、麗奈はしかたなく全裸でバカ踊りを始めた。それはめちゃくちゃなダンスで、麗奈自身、これはバカ丸出しだと自覚しながらのバカ踊りだった。 

 強姦事後の被害者がヘラヘラ笑いながら滑稽な振り付けで踊る姿に、男たちは大ウケだった。屈辱恥辱であったが、笑ってくれたことに少し嬉しいと感じる被害者心理もあった。

「今度はケツの穴にソーセージを突っ込め」

 期間限定ビックサイズの魚肉ソーセージを肛門に突っ込まれた。

「いま、ロケット花火に火ぃ、点けてやるからな」

 さらにロケット花火の棒部分を、そのソーセージにぶっ刺して台座とした。いったん四つん這いにさせて、尻をやや上方に向けさせる。ライターの火で導火線に点火すると、「ピューーーーー」と甲高い爆音を鳴らしながら火薬が勢いよく燃えだした。

 だがしかし、ロケット花火は射出されなかった。なぜならソーセージに深くぶっ刺さり、おまけに麗奈が肛門括約筋に力を入れてしまったので、しっかりと固定されてしまった。結果、噴射炎が勢いよく麗奈の尻と肛門を舐め、少なからずのやけどを負わせた。

 熱さにたまらず麗奈は慌てて走り出すが、その方向とは逆の噴射でロケット花火が悲鳴をあげていた。男たちがゲラゲラと笑い、しまいにはロケット部分が「バンッ」と爆発して尻をぶっ叩いた。素っ裸の麗奈は大きくバンザイした格好で蹴飛ばされて、そのまま地面に倒れ込んだ。

「ウッハハハハ、こりゃあ、おもしれえ、もう一回」

 地に伏せて呻いている全裸女の尻に、ロケット花火がもう一本設置された。タバコの火が導火線を焦がすと、数秒のタメを置いてから猛烈なる火炎が噴射された。

「今度のは特大ロケットだからな。さすがに飛んでいくだろう」

 だが飛ばなかった。

 伏していても麗奈の肛門力は健在であり、無意識のうちにビックソーセージをギューッと締め付けて、ぶっ刺さっている特大なロケット花火を逃がしはしなかった。

「おおー、めっちゃすげえぜ」

「こりゃあ、見ものだべ」

 特大なロケット花火の噴射炎は凄まじく、その有り余る光量たるや三千ルーメンを超えていた。全裸のうつ伏せ女が、その膨らんだ尻を必死になって振っていた。鬼畜の所業ここに極まれりであり、良心の欠片もない悪行に地縛霊でさえ顔をそむけた。

「うん、こりゃあ芸術だ」と、男の一人が言った途端に爆発した。強力な衝撃波が発射台となっている色白な尻の肉をボヨヨ~ンと波打たせた。麗奈はなぜか全力疾走でキャンプ場内を三周し、焚火の場所まで戻ってきては、ゼーゼーと荒い息遣いだった。

「姉ちゃん、なかなか面白かったぜ。またな」

「今度はアナルにしてやっからな」

「いや、もう壊れてるべ」

「まあ焦げ臭くはなってるだろうな、ガハハハハ」

 麗奈の健闘を称えつつ、強姦魔たちは去った。命に別状はなかったが、心の傷は内臓にまで達しており、衝動的に死のうとして首の頸動脈を掻き切ろうした。だが手にしていた凶器がナイフではなく、走っている途中で肛門から落ちてしまったビックサイズソーセージであったことに絶望してしまう。

「チックショーーー」

 死ぬことはいったん止めにした麗奈だった。悔しくて悔しくてハラワタが煮えくり返っていた。復讐することを考え始めた。「ヨッシ、やったるわ」と気合を入れた。とりあえず服を着て腹を満たそうとしたが、キャンプ用の食事は強姦魔たちに食い散らかされてしまい残っていなかった。しかたなく、手に握っていたビックサイズソーセージを焚火で炙る。ロケット花火の棒の部分がぶっ刺さっていたので、焼きやすかった。

 微妙な臭気が漂う魚肉塊を食いながら、麗奈はあることを決心する。自分を凌辱したケダモノたちに鉄槌を下すことだけを目標とした。



「ふう、これでいい。けっこう面倒くさかったけど、なんとか用意できたわ」

 麗奈はアメリカ合衆国のド田舎にいた。ルート666の十字交差点で魔方陣を描き、悪魔召喚の呪文を唱えて、親指を切った。

「痛っ、けっこう痛いじゃんか。ドラマじゃあ、涼しい顔して切ってんのに、じっさいはがばい痛かあ」

 カッターで切られた指からは、そこそこの血が噴き出してダラダラと垂れ落ちた。調子に乗って深くやり過ぎたことを後悔して、ぶつくさとひとり言をつぶやいている時だった。

「うっわ、びっくりした―」

 突然、魔方陣の二重円の中心に男が現れた。背広を着た中肉中背の白人であり、年の見た目が四十前後の悪魔がやって来たのだ。

「来るの、早っ」

 存外に驚きつつも、麗奈はコミュニケーションを試みた。

「ええーっと、ハウ・アー・ユー、ナイスチュー・ミー・チュー、ええっとー、ミスター・ローレンス」

 悪魔は無反応である。麗奈は自己紹介がまだだったと悟ったので、すぐに言い直した。

「マイ・ネーム・イズ麗奈。麗奈・イズ・ベリー・ビューティファー・ア・ガール。ドンチュー」

「英語ができないのにムリしてしゃべるな、イライラするわ。それとおまえの名前はどうでもいい。ちなみにローレンスってだれや、ボケ」

 悪魔は露骨に不機嫌な態度を見せていた。

「あんた、なんで日本語できんのさ」

「悪魔はすべての言語を習得している。当たり前だろう。あたり前田のクラッカー」

 麗奈が無表情だ。十字路に沈黙が続き、悪魔がパチンと指を鳴らした。とたんに麗奈の尻に火がついた。慌てふためいてジタバタして、さらにバカ踊りをした後になんとか叩き消した。

「な、なんてことしてくれるのよー。お尻にはトラウマがあるんだからね。ったくもう、最近の悪魔はダメだわあ」

「私を呼び出した理由はなんだ。用がないのなら帰るぞ、ビッチ」

「ああ、そうそう。それよ」

 真顔になった麗奈は、手鏡を取り出してメイクの手直しをしている。

「もったいぶらずに早く言えや、貧乏人。ぬっ殺して地獄に落とすぞ」

 メイク道具をあわてて仕舞い込んで話し始めた。

「じつは、わたし、ちょっと前に強姦されたのよ。すんごくヤられてタイヘンな目にあったから、あいつらをけちょんけちょんにして復讐したいわけ」

「強姦されてヘンタイな目になったわけか」

「ヘンタイじゃなくてタイヘンね。そんで力を貸してほしいのさ。だって仕返ししようにも、あいつらがどこの誰だかわかんないし、けっこう強そうだったから反撃されたらまたヤられそうだし、悪魔が味方なら鬼に金棒でしょ。なんでもできるっしょ。わたしの願いをかなえてよ」

「まあ、呪文で召喚されてしまったからな。そういう契約を結ぶことはできる。ただし、タダじゃねえぞ、メスブタ」

「わかってる。魂をやればいいんでしょ。復讐がすんだらわたしの魂をあげるから、好きに使ってよ」

 悪魔との契約の対価としては、魂の譲渡は鉄板条件である。

「いらん」

 しかし、あえなく拒絶されてしまった。

「へ?」

「んなものいらん。もう、ぎょうさん持ってるわ。歴史上の有名著名人の魂がごまんとある。おまえみたいな小汚い日本女のションベン臭い魂を手に入れても、なんにも嬉しくはない。ゴミになるだけだ」

「ちょっとー、それ差別発言だからね。大和撫子をバカにしないでよ。国連の人権なんちゃらに訴えてやるんだから」

 そう言いながらも麗奈は焦っていた。このまま契約を結べないと、いままでの苦労が水の泡になる。渡米するのに多額の金銭を費やし、悪魔召喚に使う超レアのアイテムを手に入れるのにも大金をかけていた。非正規のマッサージ師にはたいがいな出費だったのだ。

「ギャグをやれ」

「え」

「下品でお下劣で品位の欠片もない、うすら寒くてこっ恥ずかしいギャグをやれ。出来が良かったら契約してやってもいい」

 下品なことをするのは恥ずかしいが、魂を渡すよりもずっと安上がりだと、心の中でほくそ笑む麗奈であった。 

「ええーっと、じゃあ、やってみるね」

 ゴホンと咳ばらいを一つして、たったいま思いついた渾身のギャグを披露する。パンツの中に手を突っ込み、猛烈にこすってからその手を顔の前に持ってきた。

「オマンチョすりすり、オマンチョすりすり、二週間洗ってないアソコがめっちゃ臭か~。ついでにアナルに指を突っ込み、さっそくクンクン。くっさー」

 指のニオイを嗅いで、大げさに驚いている顔を悪魔に向けて、そのギャグの終了となった。麗奈としては精いっぱいのお下劣ギャグの披露であって、迅速な評価が待たれるところだ。

 大きく頷きながら、悪魔が麗奈の目の前に来た。

「貴様―っ。よくも悪魔に向かって、下品でお下劣で教養のカケラもない小学生男児以下の寒イボ全開なギャグをやってくれたなーっ。ざけてんじゃねえぞ」

 バカでかい声が重い風となって麗奈の顔面を圧した。額に垂れた髪の毛が、ふわっふわっと持ちあがる。

「こんのーっ、おっぱいプルンプルンなだけの能無しアンポンタンがーっ。アソコが臭いだけが取り柄なアホ女がーっ、こんちくしょうめーーーー」

「いや、あんたが下品なギャグをやれっていうからやったんじゃないのさ。これでも恥ずかしいの我慢して一生懸命にやったんだからね。すごく屈辱だったんだから。びえーーん」

 麗奈は泣き出してしまう。恥ずかしいというよりも、渾身のギャグがスベッてしまったことに絶望していた。

「だが、それがいい」

 悪魔の態度が柔らかくなった。何度も頷いて、親指を立ててニヤリとする。

「契約は成立した」

「えっ、契約いいの。ホントにいいの」

「もちろんだ。悪魔はウソをつかないからな」

「ありがとうございます」麗奈は深々とお辞儀をした。

「悪魔はウソをつかないんだよ。悪魔ウソつかない。ウソつかないからウソつかないクソつかない」

「はい、ですから、ありがとうございます。もう、ウソの件はけっこうですから。てか、最後のほうはクソになってたけど」

「契約してやるんだぞ。なあ、良かったな、おい」

 悪魔が肩に手をかけてポンポン叩いて、もう一方の手で尻をワサワサと撫でた。

「うひゃっ」

 慌てて逃げ出した麗奈は、五十メートルほど離れてから静かに放屁すると、戻ってきて何事もなかったようにすましていた。

「今日からおまえの巨乳が絶大なる武器となった。名状しがたい攻撃力で存分に復讐を果たすがよい」

「なんかクトゥルフ的な感じなんすけど、そのへんはどうなってんの。わたしのおっぱいが武器になるって意味不明なんですけど。ていうか、あの男たちの居所がわからないんだけど」

「その時になったら、肉肉ミートおっぱいグラインダーが勝手に発動するだろう」

「ええーっと、その肉肉ミートおっぱいグラインダーって、なんですか」

「おまえを日本に戻す。さらばだ、我が心の友よ」

 悪魔が消えた。ハッとして麗奈が辺りの原野を見回すと、見慣れた言語の道路標識が見えた。

「この先、稚内まで30㎞って、なにでやねん。ったく、どうせ日本に戻すなら関東にしてよね。なんで北海道なのさ」



 なんとか北海道を脱出し、自分の安アパートに帰ってきた麗奈は、翌日になって仕事場に向かった。

 彼女はマッサージ店のマッサージ師である。その店は格安であるために造りが安っぽく内装もボロくて場末感が漂っていた。なので風俗店と間違われることがよくあった。

「本間さん、どうぞ」

 本間という男が入ってきた。途端に麗奈の目がクワッと見開く。

 なんと、キャンプ場の強姦魔の一人であった。彼女はマスクをしているので顔のほとんどが隠されている。客である本間は気づいていない。偶然であるように仕向ける悪魔の能力ハンパねえと、麗奈はあらためて感心していた。

「うっほ、巨乳じゃん」

「なにか」

「いや、なんでもない」

 バストの大きなマッサージ師に小躍りする強姦魔を、どうやって嬲り殺しにするかを考えていた。とりあえず、施術を始める。

「それで、どのコースになさいますか。おすすめは、全身ゆったりほっこりマッサージ九十分です」

「なんか最近、ちんこの先っぽが痛えから下半身のあたりを入念にやってくれるコースで。ションベンも勢いがなくなってんだよなあ」

 強姦魔本間は、自身の陰茎が痛いと訴えた。

「なるほど」

 いますぐこの場で刺し殺してやりたかったが、さすがに職場で手荒なことはできない。住所氏名がわかったので、仕事が終わってから復讐したほうがいいと麗奈は冷静になった。

「では始めますので、そこのベッドに横になってください」

「うっほ」

 本間は、嬉々として陰茎を露出させて仰向けになった。

「パンツは脱がなくてけっこうですので」と注意した時だった。

 突然、麗奈の豊満バストが動き出した。

「うわわわわ、な、なに」

 本人が見下げる二つのおっぱいが激しく揺れている。両手でそれぞれをギュッと掴んで止めさせようとするが、上下運動は治まることなく、押さえている手ごと揺れていた。まるで、挑発的に自分で揺すっているかのように見えた。

「おいおい、パイズリしてくれるのかよ。この店、やっぱ風俗だったんだな」

 先っぽが痛いナニを屹立させて、強姦魔が喜んでいた。

「そ、それじゃあ、マッサージを始めますね」

 格安店のマッサージ師が、おっぱいを自分の手で激しく上下に揺さぶりながら仕事を始めようとしていた。

 近くにいた五十路ババアの古マッサージ師が、「あんたさあ、そういうことはご法度なんだよ」と言ってイヤそうな表情だが、麗奈の往復運動は止まらない。あまりにも激しく揺らしたので、白衣とシャツが開いて、紫ブラに包まれた巨乳がボヨヨ~ンと出てしまった。

「おっは、ここってソープだったのかよ」

 強姦魔の本間が歓喜のおっ立てを見せつけていた。

「いいかげんにしなっ」と古マッサージ師が注意するが、麗奈は無視して本間に覆いかぶさった。

「じゃ、じゃあ、マッサージ、いっきまーす」

 自分でも妙なテンションだと思いつつ、胸の谷間に強姦魔の汚ならしいスティックを挟んだ。さらに胸の上下運動をシュッシュと加速させる。

「そんなに稼ぎたいのかいな」古マッサージ師が呆れかえっている。

「サービスサービス」麗奈は言い張った。

「こりゃあ、たまらん」お客は夢見心地である。

 いわゆるパイズリと呼ばれる破廉恥行為は止まらなかった。強姦魔の陰茎を挟んだまま、高速の往復運動が続けられている。しかしながら、その振動は限度を超えていた。

「いや、マッサージの姉ちゃん。そろそろいいわ。もういいわ。ちょ、摩擦でアッツくなってきた。つか、先っぽが痛いんだから、やめてくれ。もういい、もういいって」

 強姦魔が身をよじってベッドから脱出しようとするが、麗奈の胸がガッチリと股間を抑え込んで離さない。

 そして巨乳のマッサージ師は高らかに宣言するのだ。

「麗奈の肉肉ミートおっぱいグラインダーーーーーーーーーーッ」

「うぎゃおー」

 男の股間から血が噴き出していた。麗奈のおっぱいがあまりにも速く、タイトに擦っているため、陰茎や睾丸の皮が破れて出血に至ったのだ。

 さらに、麗奈のおっぱいにたくさんのブツブツが出てきた。鮫肌のような鳥肌であり、それはすなわち、おっぱいが大根おろし器の能力を有しているということである。

 陰茎の皮どころか、真皮と肉組織が摺りつぶされていた。あれだけ調子よく猛っていた汚れスティックが、みるみるうちに鉛筆の芯となってゆく。辺りには大量の血が飛び散って、真っ白な施術台が真っ赤に染まった。

「麗奈の肉肉ミートおっぱいグラインダーーーーーーー、ツインターボ」

 左右のターボチャージャーが発動された。

 キーンと甲高い金属音が響き、おっぱい上下運動がさらに鬼加速する。残っていた男の陰部があっという間に削り取られ、前立腺や膀胱までもが消滅した。しまいには尻の骨と肉をすべて削り、キャンプ場の強姦魔は股間部を境として上半身と脚部に分かれることとなった。

 もちろん、すでに絶命している。ベッドは血まみれ、骨や肉片だらけとなり、その様子を固まって見ていた古マッサージ師も、軟骨入り挽き肉と返り血を浴びて地獄のようなありさまだ。

「麗奈の肉肉ミートおっぱいグラインダーーーーーーー、後片付け」

 麗奈が後片付けを宣言すると、彼女のおっぱいが平たく伸びた。片方が半畳、両方合わせて畳一枚分の広がりとなり、血まみれのベッドはもちろんのこと、そのあとには粒々の肉片と血液に覆われた五十路女の全身を丸ごと包み込んで、ワサワサと舐めつくした。

「麗奈の肉肉ミートおっぱいグラインダー、フィニッシュ」と宣言すると、すべてが元通りの真っ白なマッサージ台へと戻った。強姦魔の遺体も血も肉片もなにもかもがなくなってしまった。

「今日はヒマねえ。汚いオヤジでもいいからお客が来ないかしら」

 驚くべきことに、古マッサージ師の記憶までが消し飛んでいた。なにごともなかったように平然と話している。自分のところに客が来ないので、アクビをして愚痴っていた。

「ハッ」と我に返った麗奈が、元通りとなった自分のおっぱいを鷲掴みにして考えた。さすが悪魔のやることはエゲツナイと、その人知を超えた暗黒パワーの邪悪さに感心していた。

 控室では麗奈に次の客が待っていた。名簿の名前を、巨乳のマッサージ師が読み上げる。

「橋本さん、どうぞ」

「ういーっス」

 次のお客が入ってきた。体格がよくて岩石のような顔面は無精ヒゲだらけだ。赤いチェックのシャツは色あせていて、だらしのない印象である。

 麗奈はドキリとした。その男もキャンプ場の強姦魔だったからだ。

「ど、どの、コースが、よろしいでしょうか、な」

「おらあ、痔で困ってんから、肛門ふきんを重点的にやってくれや」

「わかりました」

 通常のマッサージ店での施術範囲を超える要望であるが、麗奈は承諾した。

「それでは、うつぶせになって、お尻を少し上げ気味にしてください」

 マッサージ師の言う通りに、橋本は吹き出物の痕だらけの汚らしい尻を向けた。さぞかし気持ちのいい按摩を期待している顔であったが、悪魔じみた現実が突如としてやってくるのだった。

「麗奈の肉肉ミートおっぱいグラインダー、ケツの穴ドリルバージョン」

 高らかにそう宣言すると、麗奈の豊満バストが超急速に円錐状に尖った。ブラを突き抜け白衣を破り、被験者のアスホールへ一直線に伸びた。

「ケツの穴がなんだべか。快感なんだべか」

 のん気に肛門マッサージを考えていた強姦魔橋本のケツの穴に麗奈の尖ったおっぱいがぶっ刺さった。

「ぶひゃっ」

 あまりの衝撃と激痛に超絶逆エビ反り体勢となった。

「パイルダーオン、おっぱいドリル開始三秒前」

 ギャアギャア喚きながら強姦魔橋本が逃げようとするが、おっぱいドリルが直腸を深々と貫いているので、ヘタに身動きできない状態なのである。

「二、一、点火っ」

 おっぱいドリルが回転し始めた。しかも左右二つがぶっ刺さっているので、強姦魔橋本のケツの穴は大変なことになっていた。

「オーッ、オ。オ、オオオオオー」

 もはや、オ、しか言えないほどの衝撃であった。脳天をつらぬく激痛は天井を越えて、はるか上空アンドロメダ銀河まで突き刺さった。血しぶきが激しすぎてマッサージ部屋が真っ赤に染まり、朱の靄が息苦しいほどだった。

 強姦魔橋本の田舎っぺな尻は、まるで人肉シュレッダーに放り込まれたごとく粉々に粉砕されてしまった。それどころか下半身と言える箇所がなくなり、血と肉片にまみれた上半身が、ぶよぶよっとベッドに乗っているだけだ。

「麗奈の肉肉ミートおっぱいグラインダー、後片付け」

 麗奈の豊満バストが平らに広がり、肉の残骸を包み込むように覆いかぶさった。一瞬後、汚らしく飛び散った血肉がきれいさっぱり消滅して、接客前の清潔な施術台となった。

「麗奈の肉肉ミートおっぱいグラインダー、探知」

 麗奈の敏感乳首が反応している。やや陥没気味だった左右のそれらは、北西方向へ勃起した。ピーピーピーピーと、やたらとうるさかった。

「ちょっと行ってきます」

 麗奈が羽ばたいた。

 ただし羽ではなくて、びろ~んと平らに広がったおっぱいである。バタバタと空気を叩き、信じられない物理法則を発揮して飛んだ。マッサージ店のウインドウをぶち破り、空高く舞い上がった。上空では、見慣れぬ飛行物体に出会ったカラスの群れがカアカア喚いて警戒していた。

「目標補足、方位312、距離30、射角、下方45度、乳力充填120パーセント」

 獲物はすぐに発見された。

「目標男二人は北北西に進行中。発射3秒前。2、1」

 50メートル上空で、羽状になって羽ばたいていた麗奈の幅広おっぱいが円錐状になった。

「オパイ砲、発射―ッ」

 左右のおっぱいが射出された。マッハ5の飛翔体は、都会のドブ川で野ゴイ釣りに励んでいた強姦魔の石川と笹田、それぞれのどてっ腹に直径13センチの大穴を開けて川底に消えた。着弾から約2秒後、キャンプ場のレイプ魔たちは絶命して崩れ落ちた。

「麗奈の復讐完了しました」と気持ちよく宣言したが、おっぱい推進力を失った麗奈はそのまま落下し、臭いヘドロが堆積したドブ川底へ頭を下にして突き刺さった。水面上に逆さになった下半身が直立している。

「見て、あれがスケキヨよ」

「いぬがみの家か」

 近くを散歩していた中年夫婦が驚いている。麗奈はなんとかヘドロ地獄を抜け出して川岸にたどり着いた。

「うわあ、わたしって貧乳になってるじゃん」

 まっ平のスレンダーボデーになった我が身を嘆いた。

「それがいい」

 悪魔の囁きである。

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麗奈の肉肉ミートおっぱいグラインダー 北見崇史 @dvdloto

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