色々なお友達 ばーじょん マイルド
花森遊梨(はなもりゆうり)
第1話
「へえ、そっちは二人とも18歳?つまり卒業証書もらったのに大学生をやっているスキモノというわけだね」
「もっとマシな言葉選びはないのかな?」
「20歳のアンタは成人したのは肉体だけ、精神面のアップデートは私の自動更新がオフのスマホも同然というわけね」
そんな大学のカフェテラス。テーブルには全員分のおにぎり二つずつ、袋のお菓子とペットボトルのお茶が一つずつ並んでいる
通っている大学で友人ができました。このナイフで斬りつけられたような心の痛みはまさに友人からしか得られないものです。まさに友情と言えるでしょう。
申し遅れたが私は
「萌葱、でもこれはいいニュースかもしれないよ。こんな逆コナンが大手の製薬企業に入れるのだ。私たちにもチャンスがある、今すぐ適当な大企業に履歴書を送りつけてさっつぁと内定を獲得する時だよ」
そう語る紅のパーカーを羽織るボブヘアーに小顔の痩身の名前は
…と、それだけで説明が終わってしまいそうなJDであるが、最初に出てきた人数分のおにぎり二つとお菓子とお茶は彼女が用意したものだ。いずれ男性を交えて集まる時、脅威になるタイプの女性の力みたいなものを感じる。
「無茶言わないでよ!わたしは素っ裸に受験勉強という名のローションを死ぬほど塗りたくって、ようやく狭き門をぬるりと突破して入学したのよ!それから休みなしに人事担当にどんな不適切行為を繰り広げろって言うのよ!」
そう語るコイツは
「ね、タマさん。恥を忍んでお願いしたい。
コネで私たちをあなたの会社に入れて欲しい」
「大学を出オチ同然に卒業してクスリにも野菜にも興味がないのに製薬会社に入ったせいで入社2年目にして薬学部に犬神家同然に突き刺さっているこの私にコネがあると思う時点でヤバいからやめなさい。それだったら適当なネットワークビジネスセミナーに参加しておかしな壺を買わされるほうがまだ有意義よ」
「わたしはいいのだよ。問題なのは萌葱の方」
「はぁ?」
視界の端で名指しされた萌葱がやや尖った空気を纏わせている
「萌葱は受験勉強のやりすぎできっと五月病が永遠に治らない奇病に犯される身の上なんだ。だからそうなる前に会社という制度の中に押し込んでおきたいんだ。そのためなら合理性をアピールするためにビジネススーツを撤廃したり、
無駄を省くために布面積だって減らす覚悟があるんだよ」
「黙って聞いてりゃなんでわたしが不適切行為や色仕掛けをさせる話ばっかり!!私はちゃんと適切な受験の末にこの大学に入学したのよ!!」
「(いやコイツさっきは自分の口で裸ローションとか口にしてたはずだけども…)」
「萌葱は私と違って恵まれたカラダを持っているし、それを活用しないのは罪だから。そして仕事探しは受験と違って布面積を小さくするか季節を無視して夏服を着れば「でかい」という二点突破でやる気を伝えられる。そして萌葱ならそれを伝えられる。…ならそれを持ち腐れにする選択肢などありえない。タマさんも持たざる者として当然そう思うよね?」
「た、確かにそうかも。そりゃ私も中学生のころうつ伏せに寝る一年さえ送っていなければという後悔をリメンバーしていら…って、シレッと大人の私をコイツの攻撃を防ぐライオットシールドとして扱う気なのそれでも未来を担う大学生か!」
「平山さん、勘違いしてもらっては困るわ。このクソレッドはね…高校時代は自分には魅力も胸も持病もありませんというツラしておいて3年間毎年別のクラスメイトの男を連れて海とプールに行っていたんだよ、おまけに休み明けのテストは毎年わたしより点数が上だった!」
「(全員分のお食事持参というあたりで、男を交えた集まりで立ち回った経験がありそうというか、周りより株を上げられる立ち回りの片鱗が見えると思っていたけど、思った以上に恐ろしい子だったのね)」
いろいろとヒートアップしてきた十代女子の間に割って入る勇気はこの前まで十代だったタマさんにはなかった。
こうして色の名前を持ち、別の意味の色も辞さない友人との時間は過ぎていく。
どうして 年齢の十の位が1と2しか違わないのにこれだけエネルギーに差が出るのか?
色々なお友達 ばーじょん マイルド 花森遊梨(はなもりゆうり) @STRENGH081224
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