第7話最期

雨が降ってきた。


閉ざされたドアの前、座って、落ちていく雨粒を見つめていた。


それが落ちて音を立てているのをきいていた。


そうして、彼がここに帰ってくるのを1人、待っていた。


私がここで待ち続けるとゆかりさんに話したとき、ゆかりさんはそれで気が済むのならと言って、了承してくれた。


私を今保護している施設にも、話をつけておくと言ってくれた。


星が涙を流しているのだろうか。


こんなに、大粒で、沢山の涙を。


きっと、この子たちは分かってくれている。


キミのことを痛いほど。


私にできるのはこれだけ。


一緒に、寄り添ってあげることだけ。


...。








どれほど時間が経っただろうか。


「せんせい...?」


彼は、傘もささずにここまで帰ってきたようだ。


私を見つめて、なお沈黙している。


「おかえりなさい。光さん。」


彼にそう笑いかけてみた。


すると、彼は屈んで私の肩に手を置いた。


真剣で、なぜ私がここにいるのか、咎めようとしている顔だった。


でも。


私が身構える隙もなく、その腕が私を引き寄せた。


濡れた白い衣服から冷たさが伝わってくる。


「...ごめんね。」


先生の優しいこえ。


触れ合っているところから少しずつ私に届いてくる。


お腹から顔に...あつくなってきて...。


わたし...。


彼への気持ちに気付いて、涙が溢れた。


やだ...


本当に辛いのは、先生だったのに...


どうして、私が泣いてるんだろう。


彼を、私、傷つけたのに。


あ...。


「先生...大丈夫ですか...。」


「...。」


震えてる。


やっぱりつらいんだ...。


「先生...。」


「大丈夫。

今日は何も...。」


彼は私に笑ってみせた。


そこには確かに、面影がある。


「寒いから、中入ろう。」


「はい。」




先生は、家に入ると、私に温かいお茶を淹れてくれた。


「先生、そんなことをして大丈夫なんですか...?

早く休んだ方がいいんじゃ...。」


「ここのところずっと休みっぱなしだったから。

寝てばかりいても身体によくないからね。」


「でも...。」


「はい。

ずっと外で待っていて寒かっただろう?

身体、あったまるよ。」


「あ...ありがとうございます。」


指先からじわじわ温まってくる...。


「おいしい。」


「...良かった。」


先生の笑顔...。


こんなに、尊いものだなんて。


「先生は...私のこと何度も助けてくれましたよね。」


「医者だから。

人を助けることが仕事なんだよ。」


「医者としてもそうかもしれません。

でも、ひとりの人としても、私を救い出してくれたんです。」


「本当にそうかな。

俺は、医療従事者としての義務を果たしたに過ぎない。

君を救うという名目で君を学校や家族とも引き離した。

その選択が、果たして本当に最良だったのかは誰にも分からない。」


「例えそうでも...私は先生に感謝してます。」


「こちらこそ。

本当に君を助けられたのだとしたら、それは君自身が俺に協力してくれたからだよ。」


穏やかな先生の言葉。


でも、本当に助けを必要としているのは。


「今度は私が先生を助けたいんです。」


「俺を...?」


「はい。」


「君は、優しいんだな。」


「...いえ。」


彼は、私の頭にそっと手を置いた。





「君のこと、分かるんだ。

痛いほど、よく。」


「...。」


「君が今までどれだけ苦しんできたのか。

...痛くても分かってもらおうと必死だった。


君は決して間違っていないよ。」


「...さっき、また力を使ったんですね。」


先生は、私の頭をくしゃっとして笑った。


嫌だ、そんなの。


じゃあ...

今は先生が、痛がってるって。

分かるから。


私は、それを拒むことができないから。


「それなら、私と約束してください。

もうその力は使わないって。」


私が間違っていないのなら。


どうして、そんな顔をするの。


私は、先生を。


あなたを、


助けたいだけなのに...。






「君は、間違っていない。


...俺が間違えているだけだからね。」


眠っている少女に向かって、そんな皮肉を。彼は呟いた。


彼女にとって、記憶は痛みだった。


今は、どうだろうか。


忘却することが、痛みからの解放なら。


最後に、君のために。


この力を使おう。


「最期に、こんなわがままを...。

許してね。」


お別れを、言いたかった。


それだけのために...。





そっと外へ出ると、そこに。


「そんなの許さないわ。」


「...姉さん。」


月が姉より高いところにあるなんて。


不思議な感じだ。


「彼女を残して、あなた、死ぬつもり?」


彼はただ、笑みをたたえるだけだ。


「そんなに自信があるの。

ずっと変わらないのね。」


姉が、苦笑した。


そして、弟に近づいてくる。


「あなたはいつでもずっと残酷だった。

いつでも痛いのが好きなのね。」


「...生きてるって感じがするからね。」


「その大好きな時間も、もう終わりよ。」


月夜に照らされ、耳鳴りがするほどに、


ギラリとひかるもの。


「これを使って、教えてあげるわ。

あなたの力は、決して救済道具じゃない。

あなたの力によって、より多くのもがき苦しむ人たちがいるってことをね。」


彼女の目も、殺意の光に満ちていた。


「1度目は感謝してるわ。あのときはまだ死にたくなかったし、何よりも、あの人に出逢えたから。

でも、...。」


「...。」


「あの人と一生。

いえ、

永遠に添い遂げるつもりだった...。

どうして私だけ助けたの。」


「1年前の事故で、あの人は即死だった。

でも、姉さんだけは生きていたから。」


「...そのまま死なせてくれればよかったのに。あの人がいなければ私は生きていたって仕方がないのよ?

あなただって分かってたでしょう?」


「それは、伝わってきたけれど...。」


「あなたに分かるわけない。

あなたに分かるのは、表面的な痛覚だけよ。

だから、あの人の元に行こうとしていた私の邪魔をしたの。」


「...辛い思いをさせて、ごめんなさい。」


「いいのよ。

これで全部終わりだから。

あなたは誰も救えないの。

ここにいる大切な誰かさんも、あなたを失って泣くことになるのね。」


グリグリと胸に包丁を突き立て、胸に少しずつ、赤いものが滲んでいく。


このココロには、あの子がいる...。


「あなたもそれでいいでしょう?

これを深く深く、差し込んであげれば、

苦しまずに全て、おしまいよ。」


「姉さん。」


震える彼女の手を掴み、彼は憂いを込めた声でそう呼びかけた。


「なによ。今さら怖気付いたわけ...

...?」


キイン。


力なく落ちた、凶器の音。


途端に、彼女の目からは、生気が失われていった。


それまで身体の全てを支えていたものが一気に抜け落ち、力尽きる。


彼女を今まで生かしていたのは、愛した人を失い、孤独となった苦しみの記憶そのものだったのだ。


そう。


全部、そう。


今まで、救ってきたものは全部。


がら空きになった伽藍の洞に

新たな苦しみを満たしていただけ。


本当に彼女の全てを無にして。


せめて、今度こそ。


「幸せに...。」


誰かを愛し、愛される日々がつづきますように。








学校の帰り、母猫が、子猫たちを連れているのを見かけた。


すぐに、前、自分が助けたものだと分かった。


幸せそうに頬をすり寄せ合っている。


その母猫は、こちらを見かけると、前に助けてもらったことを覚えているらしく、嬉しそうに駆け寄ってきた。


「来るな。」


咄嗟に後ずさる。


それでも、何も知らないこの猫は、甘い鳴き声を発しながら、近づいてきた。


「やめろ...。」


それでも、ついてくる...。


「やめろ、お前、なんて...。」


ついてくる。


「いやだ...嫌だ!!」


猫に向かって、石を投げた。


母猫は、ギャンと叫び声をあげ、飛び上がるのが視界に入った。


さあっと、


顔が熱くなるようで、


青く血の気が引く。


胸を押さえ、あちらを見もせずに駆け出した。


きゃー

きゃー


そんな高い声が耳に響く。


耳にも必死に手をやった。


だって。


仕方がないじゃないか。


それは、いいことじゃなかったんだ。


ボクガ、助けたことは。


いいことじゃなくて。


本来なら、見殺しにした方が良かった。


そうした方が、よかった。


そうしたら、ボクガ苦しむこと、


痛いことなかったんだから。


あんなの、動かなければただの...。


...るな。


...みるな。


見なくていい。


ちょっと傷つけたって。


痛くてもがき苦しんでたって。


もしかしたら、死んじゃっても。


ボクは関係ない。


関係...ないんだ。


「...あ...あ、あ...ぁ。」


身体の震えが止まらない。


吐き気が、止まらない。


考える...な....。


何、も...。


「あ...あぁぁぁああぁぁぁぁぁ

...あははははははははっっっっ!!!」


止まらない。


笑いが。



やってやったんだ。


やってやったんだ。


ザマアミロ。


ざまああみろよお!!


何にも知らずに。


俺に近づいたりするからだ。


感謝したりするからだ!!



衝動に駆られて、


頭や腹や胸や腕や、


色んなところを抱えて笑った。


ひとしきり笑ったあと、


スキップして帰ったりなんかもした。


今思えば、とても残酷な話だった。


自分も、何度も石を投げられたことがある。


それも、こんな気持ちだったのかもしれない。


もしかしたら当たりどころが悪くて死んじゃっても。


関係ないのかもしれない。


忘れてしまうのかもしれない。


なんだか、面白そうに笑ういじめっ子の気持ちがよく分かってやったような気持ちになった。


清々しい、本当の意味の解放は。


こんなものだったのかもしれない。


だから、今さら...。


今さらもう...。






ね、こ...。


まだ、生きて...。






次の日の学校の帰り道。


昨日の親子が歩いていた。


石を投げられた母猫は、何もなかったかのように元気そうだった。


「...。」


そして。


こちらを見かけると、ゆっくりではあるが、

昨日のような甘くて優しい声を出しながら、

近づいてくる...。


ああ......。


よか、っ、た...。


無事で良かった...。


心の底から、安堵が広がっていく。


まだ、生きてた。。


元気だった...。


ゆっくりと撫でてやると、ぐるぐると甘えた声で気持ち良さそうにしている。


「あ...よかった...。

よかった...よかった...。

よかった...よ...。」


にゃあ。


と、嬉しそうな声がきこえてきた。


「よかった...

よかったぁあぁぁぁっ....、

あ...

ごめん、なさい...。

...ごめ...

っごめんなさい!!!」


ほんとうに後悔した。


本当に、昨日までの自分が憎くて憎くて嫌いになった。


「ごめん...ごめんね。」


何度も、撫でたり、抱きしめたりして謝った。


「怪我は...、

痛いところは...

ないの...?」


そう言って、身体を触って、昨日どこに石があったのか、どの程度痛かったのか確認した。


倍にして自分に

し返してやろうと思って。


でも、

石は実際には、当たっていなかったらしい。


当たったと思ったのは、急に石を投げられて、驚いて飛び上がっただけのようだ。


「こころ...は...?

びっくりしたし、痛かったよね...?」


「にゃあ。」


平気、と言っているようにきこえた。


でも、やっぱり...。


「やっぱり、痛かったんじゃないか...。

ちゃんと...ちゃんと言ってよ...。」


僕が、暗い顔をしていたのが気になって、元気を出してもらおうと近づいたらしい。


どうして、拒絶されたのか。


それが、ちゃんと分からなくて。


苦しんでいたのが、


こちらに、伝わってきた。


「苦しいね...。痛かったね...。

ほんとうに...ごめん。」



それから、決めたんだ。


この子を傷つけてしまった分。


この過ちが許されるまで。


ずっと。


誰かを助け続けるんだ

って...。


例え、それが間違っていたのだとしても。


その罪は全部、自分が背負っていくって。









「院長...?

そこで何を...?」


1人の看護師が、跪いて開け放たれた病室を見つめている院長に声をかけた。


「院長...?」


「逃げられたんですよ...。

彼は、痛みの全てを操るようです。


頭を打たれた自分の痛覚を利用して、この通り、全員を気絶させたんです...。


まさか、痛みを他者に与えることもできるとは...。」


看護師にとって、何が起きたかはわからないが、廊下の至るところに、大の大人が横たわっているのが見え、とても不審に感じた。


「今度は一体...なにが...?

...きゃっ!」


急に手を握られ、うろたえる看護師。


「君は欲しくないですか?

奇跡が!」


「え...?」


「既に上には報告していたのに。

これでは立証もできない。

彼がいなければ意味がないんです...。」


「な、何をおっしゃって...、彼とは誰なんです?」


「暁光のことですよっ!

決まっているでしょう!?」


「院長先生。

落ち着いてください。

私には、何がなんだか...。」


「...素晴らしいでしょう?

奇跡が金で買える世の中も夢じゃないんですよ?」


「え...えぇ...?」


「こうなったら、なんとしてでも、暁光の行方を探しあてて...。」


「その必要はありません。」


鋭い声に振り返ると、先ほど逃げ出したはずの彼が立っていた。


「ははっ...。

わざわざそちらからお越し頂かなくても、こちらからお迎えにあがりましたよ、

王子様。」


男は、よろよろと彼に近づく。


「院長、俺はあなたの思う通りには動きません。」


「わざわざ私にそれを伝えに?」


「はい、そうです。

ここを辞めます。」


「ほう...。

君は私の恩というものを忘れたのですか。」


「申し訳ありません。

ここに勤めることを快諾いただき、置き続けてくれた院長には、感謝しています。」


「それなら、その恩義に応えるのが、君の務めでは?」


「はい。

しかし、それが正しい心で成し得ることができないというのならば、その恩に背き、お別れするしかありません。


今までお世話になりました。」


そう言い残し、呆然とする男に背を向け、彼は去る。


「あの...暁先生...。」


近くにいた看護師が呼び止める。


「ここを、辞めてしまわれるんですか?」


「はい。」


「そうですか...。

どうか、お元気で。」


彼は微笑んだ。


そして、また別れの路へと歩きだす。


長い、


永い別れの路へと。










「...?」


目が覚めると、見知らぬ場所で寝ていた。


いや、そう一瞬で錯覚しただけだ。


ここは、私を保護している施設。


いつものように、また色のない朝が始まった。


こんな色のない壁の中に私を入れた人は誰なんだろう。


私は、誰にも必要とされていないから、人の目につかないように入れたのだろうか。


この箱庭の中に。


あのまま、死んじゃっても良かったのにな。


まあ、あのときに逃げ出したのは、


他でもない私なんだ。


それは変わらないから。


また、いつか、真っ当から向かわなくちゃ。


でも...。


本当に私の居場所は。


ここ、だったんだっけ。


「真壁さん。

そろそろ起きて、皆のところにいきましょう。」


施設のひとが、空っぽな今日の目標を投げかけてくる。


最近、何にも思ってないな。


怒りも、悲しみも、苦しみも、


思いやりも、恋も


全部...。


消えてしまったように感じる。


心が抜け落ちてしまったように感じる。


もしかしたら、あの時から私の心だけは。


死んでしまったのかもしれない。


そういえば、


昨日、大切なものを握りしめて寝たような、気がする。


そっと、右手を開くと、そこには、小さな写真が握られていた。


そこには、猫を抱えて微笑んでいる少年が写っている。


知らない子だ。


そういえば、昨日、施設の片隅に落ちているのを見つけて拾ったんだ。


笑顔とか、そういうの久しぶりだったから。


自分もやり方、忘れないように持っておこうと...。





「先生...?」


今にして思えば、なぜそう呟いたのかわからない。


この写真の少年が誰なのかも、何に苦しんでいたのかも、誰を想っていたのかも、


全部。











それから数年後、


私は、施設を出て、働くことになり、


そこで何人か友達ができ、知り合った男性と結婚した。


そして、私たちの間には、子どもが生まれ、

今日、病院から退院することになったのだった。


「そういえば、この病院での噂、知ってる?」


子どもに触れ合いながら、その人はそう私に語りかけた。


「この病院では、助からない見込みの患者さんが奇跡的に回復したことがあるんだって。その患者さんは、回復する直前に男の子の姿を見たっていうんだ。」


「夢を見ていたのね。」


「それが、男の子に手を引かれて、ここまで戻ってきたって話だよ。

男の子の霊が、その患者さんをあの世から引き戻したんじゃないかな。」


「まさか、ありえないでしょ。

幽霊なんているわけないわよ。」


「そうかな。

いるかもしれないよ。

ほら、君の後ろに...。」


「もー、やめてよ。」


その人はいたずらっぽく笑う。


全くこうやって冗談いうの、ずっと変わらないんだから。


そういえば、男の子って...。


「...どこいったんだろう。」


「何が?」


「あなたと出会う前、男の子の写真を拾ったことがあったの。

名前も知らないし、会ったこともない男の子だけど、なんだか懐かしい気がしたからずっと持ってたの。

でも、知らない間になくしちゃったみたい。」


「君が僕と出会う前にそんな写真大事に持ってたなんて、なんか嫉妬しちゃうな。」


「もう、そういうんじゃないわよ...。

?」


それまで寝ていた赤ちゃんが、突然キャッキャと笑い出した。


「どうしたの...?」


「なんだか、向こうの壁の方に向きたいみたいだね。

...男の子かな?」


「ちょっと、やめてよ。

こわい。」


もちろん、そちらを向いても、私には何も見えないのだが、赤ちゃんは、そちらの方に懸命に身体を捻ろうとしている。


「だめよ。

まだ首もすわってないんだから。」


「近づいてあげたら?」


「えー...。」


私は渋々ながらも、赤ちゃんを抱いて、


「ほら、ここに何かあるの?」


と、そっと壁のほうへ近づけて見せた。


すると、


「うわっ!」


危うく赤ちゃんを落としそうになる。


すんでのところで大事に抱えたので大事には至らなかったが。


「な、なに?

どうした?」


「今、何か赤ちゃんに触って...。」


「え...?」


私たちの反応とは対照的に、赤ちゃんはキャッキャと笑っている。


「...やっぱり男の子なんじゃない?

赤ちゃんを触ったんだよ。」


「そんな、わ、悪い子だったらどうするのよ...。」


「大丈夫だよ、きっと。

この子も嬉しそうだし。」


「ほんとに...?」


そう焦っているところで、退院の手続きを終えた看護師さんが、病室に入ってきた。


「あの...。」


「あ、すみません。

この子ったら、壁の模様でも気になってるのかしら。」


「...いえ、きっと、喜んでいるんだと思います。」


「え?」


「他の子も、よくそこで誰かと...。」


「え、本当ですか?」


「なんて、気のせいですよね。

そのちょうど隣にもよく子どもさんがいらっしゃるので、壁を伝って声が聞こえるんじゃないかと思います。」


「そうですか。」


気のせいだろうけど、もし、本当に男の子がいるのなら...。


これからも、この病院を見守ってほしいな、

なんて思う。


私も、この子を頑張って心優しい子に育てよう。


この新しい生活に、向き合ってみよう。


「誰も...彼のこと、憶えてないのね。」


病室を後にした夫婦を見送りながら、ひとりの看護師はそう呟いた。

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キミのこと痛いほどよく分かる 赤ペンマヤ @akapenmaya

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