最終章 未来に旅立つ
その日、
すっかり女装姿が板についた
メディアに引っ張りだこにされた影響か、より美しさを増した
中学生という年頃のためか、急速に『女として』の成長を遂げ、クール系美少女からクール系美女へと進化しようとしている
長女に似たスタイル抜群の遺伝子のおかげで、年相応のピュアで愛らしい笑顔のなかに、もはや小学生とは思えない胸のふくらみを見せつける
アイドルグループの遠征。
そう言っても誰も疑わない美女と美少女の五人組がその場に佇んでいるのだ。とにかく、目立つ。人目を引く。通りすぎる誰もが熱い視線を注いでいく。なかには完全にアイドルグループと思い込み、サインをもらおうかどうしようか相談する人たちもいた。
そんななか、
「今後のためにぜひ、現場を見ていただきたい」
瀬戸口まどかからそう誘われ、プロジェクトの現場となるアジア・アフリカの貧困地域を視察に行くのだ。
「いよいよ、
その横では姉の
「本当。まさか、こんな日が来るなんてね。みんな、
「五つ葉のクローバー。その花言葉は『財運』と『繁栄』」
「
姉妹たちの言葉に
「すべて、みんなのおかげだよ。
「五つ葉のクローバー。存在する確率は一〇〇万分の一。わたしたちはまさに、そんな確率で起こった奇跡」
「ええ、そのとおりよ。わたしたちは五つ葉のクローバー。これからも、みんなで力を合わせて生きていきましょう」
「おおっー!」
と、長女の呼びかけに全員が腕を突きあげ、声をあげた。そのとき、ちょうど、飛行機の時刻を告げるアナウンスが流れた。
「さあ、行こう。私たちの、世界の人々の未来のために」
「ええ」
――そうとも。本気で思いを語れば共感し、共鳴してくれる人は必ずいる。自分の思いを信じ、貫けば、なんだって実現できる。
――人類の歴史は『できるわけがない』と言われたことを、実現してきた歴史なんだからな。
育美は胸の内にそう呟いた。
そして、
望んだ未来を手にする旅に。
完
追放されたおれが、女になって四姉妹と夢をつかむまで 藍条森也 @1316826612
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