【KAC20248】お題:めがね part2

かごのぼっち

図書館司書様

 ボクが図書館に通うようになって数ヶ月が過ぎた頃、僕はヨトゥン王立図書館と同じ様に本の虫となっていた。


 この図書館には世界中の魔導書が集められており、他所ではお目にかかれないルーン文字のフルサクなどを使った魔導書など、とても豊富な蔵書があってボクも興奮気味だ。


 しかし、図書館に通うようになって気になる事がひとつある。


 あの司書……全く動いてない?


 基本的に蔵書の案内はドローンが行う為に、司書としての仕事はほぼ皆無と言える。


 では、いったい彼女は日がな一日何をして過ごしているのか、観察していたのだが。


 微動だにしない。


 トイレにすら行ってないが、彼女は本当に人間なのか?


─っ!?


 今めっちゃ視られた気がしたが、気の所為か!?


 いや、あの何処にでも突き刺さりそうなザマスめがねの奥が読めない!


 こちらを見ている様に思えるが、違うのかも知れない。


 あのめがねの奥の視線は一体何処にあるのか!?


─っ!?


 いや、見間違いか!? 少し笑った様な気がしたが……気の所為か!?


 ボクは彼女に近付いてみた。


 やはり微動だにしない。


「あのお」


「はい」


「エルサリオン教授の著書を探しているのですが」


「少しお待ち下さい」


 司書の女性が端末を検索して書籍の在り処を探してくれる。


 相変わらずめがねの下は伺い知れない。


「こちらのドローンに案内させますので、ついて行ってください」


「はい、ありがとうございました」


 事務的と言うか機械的な対応しかしない徹底振り。 


─ボクは好奇心に負けた─


 彼女のめがねを外してみせる!!


 ボクはこっそりと彼女の周辺に魔法陣を展開した。


 彼女の周辺の温度が徐々に上昇する。

 

 彼女に額にも汗が滲み始めた。 こめかみから流れた汗がめがねを伝う。


 その表情こそは窺い知る事は出来ないが、苦悶しているに違いない。


─待つこと数分


 彼女がハンカチ片手にめがねに手をかけた! あ…


 後ろ向いた!?


「あのっ!!」


 って思わず声かけちゃったー!!


「はい?」


─!?


 誰、この人!? めちゃくちゃ美しいんだけど!?


 視線を落とす。


 めがねの内側がモニターになっていて、男性同士がイチャコラ……。


「先ほどはありがとうございました。 探していた本が見つかりましたので、お礼をと」


「いいえ、それは何よりです」


─スチャ


 観るんかーい!!


 図書館司書様は腐女子だった件。



    ─了─

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