【KAC20248】怪盗マカロンと揺れるハート~めがねの少年探偵~

夢月みつき

第1話「風邪ひき」

 この作品のみでも読めますが、前作も良かったらどうぞ。 

 怪盗マカロンと揺れるハート

 https://kakuyomu.jp/works/16817330662821036345




「怪盗マカロン」イメージAIイラスト

 https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16818093074582607519


「苗野蓮」イメージAIイラスト

 https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16818093074585181382




 私は、“少女怪盗マカロン”こと、鈴音すずのねかりん十五歳。私のこと、覚えてる?

 パステルピンクのツインテールをなびかせて、赤くきらめくはルビー色の瞳。

 そして、気高き、お祖父じい様の血を引く者。



 今宵も、怪盗マカロンとなり、その昔、世界的な怪盗と呼ばれたお祖父様の呪いを解く為に今宵も、その宝石盗ませていただきますッ!

 私が動けば、当然警察のおじさん達も騒ぎ出す、そして、あの“少年探偵” 苗野なえのれんもね。



 さあ、今日はどんなふうに遊んであげようかなっ?と思っていたら……

 探偵は、風邪でお休み。もうっ、私をもっと楽しませてよ!





 🌸





 私はとりあえず、苗野蓮。私の同級生の家にお見舞いに訪れた。

 門のインターホンを押す、すると、優しそうな苗野くんのお母さんが現れた。


「おばさん、こんにちは。鈴音です。苗野くん、大丈夫ですか?」

「ありがとう。鈴音さん、蓮ね。今、熱が出て寝込んでいるのよ。うつしては悪いから……また、今度ね」

「そうですか」



 私は、きびすを返して帰ろうとしたけど、どうにも気になって。

 苗野家の庭にある、ちょうど部屋の中が見える木の上から、苗野くんの様子を伺った。



 すると、苗野くんは起きていて、机の上に置かれているミニ冷蔵庫から、ペットボトルの水を取り出して飲んでいた。


「苗野くん、大丈夫かな」

 私はつい、声を漏らしてしまい、すぐ口をつぐんだが。

 本人は地獄耳なのか、気づかれたようで窓を開けてきた。

「誰だ?」



 とっさに木の後ろに身を隠す。

 いつもは、コンタクトをしているのか、今日の苗野くんは、メガネを掛けている。

 私が戸惑っていると、苗野くんはこう続けた。



「――まさか、マカロンか?」

 もう、どこまでこの人はマカロン一筋なんだろう。



「そうよ、あんた風邪引いたんですってね」

「なんだよ。おれをあざ笑いに来たのか?」



 少しむっとしている声が聴こえる。

 まあ、仕方ないけど。なんでそうなるかな。


「あんたがいないと面白くないわ。早く復帰してきてよね!また遊んであげるから」

「ふっ、望むところだ」



 彼は、メガネをくいっと上げると一瞬、嬉しそうな表情でふっと笑い、顔の表情がゆるむ。


 反則よ!その顔は。私は思わず赤面してうつむいた。

 怪盗と探偵の対決は今日も続いている。



 -おわり-



 最後までお読みいただきありがとうございました。

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