星待ち 🌟

上月くるを

星待ち 🌟



駒返る草のさみどりおしなべて

古草のおのが行く末見てをりぬ


をさなくてすでに尖れる菖蒲の芽

ひとり家のふきんの真白桔梗の芽


白づくし金平糖や雪やなぎ

暮の春橋の工事のいま盛ん


弾き語る男の背中や夏近し

ゆで卵十個つくりて春暑し


ぎしぎしや山高ければ谷もまた

茎立や思ふやうには生きられず


猿まつる社の昏し茅花の穂

山葵田の小川の芹の一際に


木曽路なる雨を慕ふて金鳳花

きんぽうげ熊野古道を歩く犬


万葉のその名も哀し嫁菜かな

香菜の分けて明日葉匂ひけり


春深し酸辣湯のすつぱうま

春惜しむ白き舗道に鳥の羽


星待ちの空のはなやぐ暮春かな

おぼろ夜の想ひはいつも片想ひ




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

星待ち 🌟 上月くるを @kurutan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ