兄の見る世界

兄が死んだ。
肉体は燃えた。
残ったのは、左側だけひしゃげた眼鏡だけ。

家族が一人死んでも、日常は続いていく。
同居していた他人。何を考えていたのかわからず、関心もさほど持たなかった。
それでも主人公は、その眼鏡で彼の世界を見る。

今更なのかもしれない。
けれど追想することは多分、意味がある。と、私は思う。