【短編849文字】【KAC20248】150年分のめがね

南都那氏(なんとなし) ニート風味

第1話 めがね発掘


「○○さま♡ めがねケースが24個も出て来ました♡」

 専属メイドロボのイブさんが、めがねケースからめがねを1つ1つ取り出してならべていく。


「何で、めがねをならべてるんですか?」

検品けんぴんです♡ それより○○さま♡ 今めがねをかけていないのに、なぜめがねを持っているのですか?」


「ええっと。35才ぐらいの時に新聞奨学生制度しんぶんしょうがくせいせいどを利用して小説の書き方を教えてくれる学校に通ったんだけど、バイクに乗るのに0.7の視力だとギリギリだったからめがねを作ったんだよ。それで新聞奨学生しんぶんしょうがくせいの間は違反いはんとかで点数を引かれるから、免許更新めんきょこうしんを3年に一遍いっぺん新聞配達しんぶんはいたつをやめてからは免許更新めんきょこうしんを5年に一遍いっぺん70才からは高齢者講習を受けなきゃいけないから71才に免許返納めんきょへんのうしてそれからも5年に一遍いっぺんめがねを新調しんちょうし続けて149才の時に全人類の脳にインターネット無線接続装置の移植が義務化されて意志力強度との掛け算で20才に若返った時にめがねがいらなくなるまでで、めがねを24個作ったんだよ?」


「○○くん! このめがね! 反射はんしゃする光が青色だよ!」

 カラスアゲハの羽を持つフェアリーが、うれしそうに報告ほうこくしてくる。


「ああ。それは一時期いちじき、パソコンのブルーライトが目に悪いと言われていた時に作っためがねだね。けっきょくの所ブルーライトも必要らしくて、ブルーライトカットのめがねはそれだけ作っておしまい。無駄むだだった」


「○○くん! この、めがねケースが他より大きいめがねは?」

 キアゲハの羽を持つフェアリー、が楽しそうに聞いてくる。


「ああ。それは、はなだかみみだかの負担を軽減するらしいバランスで作られためがねだね。僕には、違いがわからなかったやつね」


「○○さま♡ 全体的に、レンズの大きいめがねが多いような気がします♡」


「ああ。僕の顔の系統がキュートタイプらしくて、キュートタイプはレンズの大きいめがねが似合うにあうんだって」


「○○さま? ○○さま♡の顔は興福寺こうふくじ阿修羅像あしゅらぞうにそっくりですが、興福寺こうふくじ阿修羅像あしゅらぞうの顔の系統もキュートタイプなのですか?」


「さあ? 僕はめがね屋じゃないから、何とも言えない」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【短編849文字】【KAC20248】150年分のめがね 南都那氏(なんとなし) ニート風味 @nanntonasi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画