現代の処世術
常陸乃ひかる
仕事を選べないOL
2:30 p.m.
株式会社キャスト・アウェイ 北関東支部
アイボリーのカーディガンを着た女は、オフィスの一角に座り、ラップトップのモニタに顔を近づけたり目を細めたりしていたが、
「やばっ、読めない。ふぅ……」
こらえきれず口にした独り言をキッカケに、キーボード操作を放棄した。溜息の貫禄と、勤続年数が比例してしまっている会社員――彼女の名はヒバリ。小休憩がてら凝り固まった体を動かすと、左肩から胸元に垂らした茶髪の毛先が何度か揺れた。そのキッカケを崩さず、デスクのマグに手を伸ばし、わずかに残ったシュガーフリーのコーヒーを飲み干す。セールで買ったコーヒー豆だが、案外悪くなかった。
この女、容姿だけなら二十代半ばだが、実年齢はあと数年で三ケタに突入する、人間のような――人ならざる者である。なぜそこまで長生きしているかヒバリ自身もわからないし、スペシャルアビリティを持っているわけでもない。
また、蜘蛛に噛まれたニューヨーク在住の彼のように、町の平和を守っているわけでもない。ただ老けずに
「どったの? 読めない漢字か英語でもあった?」
「どっちも正解。けど、最大の理由は文字が小さすぎるんじゃい!」
ほどなく、その大きな溜息に釣られるように、通路を挟んで背中合わせで座っていた同僚が背伸びのついでに立ち上がり、ヒバリの席を覗きこんできた。
「ヒバリちゃんも、ついに
「変なトコだけ老化するのタチ悪すぎ」
「ダテに東京オリンピック、二回も観てないからね」
「ウメちゃんと下宿の白黒テレビで観たねえ」
ヒバリの老眼事情を苦笑してきた女は、付き合いの長い同僚であり、同様に特殊な力を持たない――人間のような生物だ。名をウメと言い、ほんの少しだけ彼女のほうが年下である。
「ヒバリちゃんって、大正生まれだっけ?」
「ギリ昭和じゃい。ふぁぁ……てか、支部長ってまだ会議中? ほら、昼一の」
ヒバリは一抹の怒りを込めながら両手を天井に突き上げると、それを大あくびの導入とした。涙の溜まった視線をオフィスの奥にやって、上司――支部長に対する嫌味を挟みながら両腕を下ろす。四十肩を通り越した両肩がバキバキと音を上げ、思わず顔を歪めてしまう。
「今日はブラインド会長もリモートに出席してるみたいよ?」
ウメは席に戻り、背もたれをギシギシさせながら足を組み、ハーフアップにまとめた、ヒバリよりも明るいロングを揺らし、あからさまに呆れた表情を見せる。
「マジで? 会長なのにまだ仕事するのか」
「あたし、会長って見たことないわ。どんな人なの?」
「さあね。株式会社キャスト・アウェイの創業者――ロス・ブラインド。普段は東京本社に居て、生態は謎。老人とか子供とか、性別不明とか。昔は何度も死にかけながらも、『アウトキャスト』って名前から今の社名に変更したらしい」
椅子を回したヒバリは、なるたけ簡潔に会長の情報を伝える。
ウメが話半分に「もはや都市伝説ね」と相槌を打つと、ミーティングルームの奥がガヤガヤと始まった。ほどなく奥の扉が開き、支部長を含めた三名の役員が出てきて、それぞれがデスクに戻ってゆく。そんな中、風が吹いたら倒れてしまいそうな痩身の支部長だけが席につかず、その足でヒバリに近づいてきて――
「ヒバリ君、ちょっと良いかなあ?」
斜め後ろに立ち、良からぬトーンを発するのだ。
ヒバリは横目で存在を認識し、仕事を再開するフリをしてみせると、巻きこみ事故を恐れたウメは、音もなくデスクへとフェードアウトしていった。このパターンは何度目だろうか。大方、厄介事を押しつけられるに決まっている。
「あのねヒバリ君……急遽、行ってほしいところがあって――」
「あ、嫌でーす」
「即答やめてよう……」
「余ってる人なら、ほかにも居ますよ?」
ヒバリは横目のまま、第一声でイニシアチブを握った。対する支部長は目をパチパチさせ、通路を挟んだ向こう側からはウメの笑い声が聞こえてくる。平社員が支部長を無下に扱う、オフィスの日常だったが――
「会長直々のご指名さ。なんでも君と直接話したいんだってさ」
支部長はトーンを変えながら小さな声で、信頼とも取れぬ発言を見せたのだ。いつものような、『備品、注文しといて』だの、『メール送っといて』だの、面倒な雑務を任せる雰囲気ではなかった。
ヒバリは細い眉をぴくりと動かし、目線を彫の深い顔へと移動させた。会長がリモートに参加していたからだろう、鼻下とあごのヒゲが今日は綺麗に整っている。
「めんどくせ。リモートで良いじゃないですか」
「ヒバリ君って、会長でさえ無下に扱うのね……」
「さーて。定時ダッシュの準備するか」
「ま、まだ早いってば……!」
翌日 12:45 p.m.
株式会社キャスト・アウェイ 本社
北関東支部から特急で一時間ちょっと。最寄駅から徒歩三分。
キャスト・アウェイの本社ビル受付に常設されたモニタにスマートフォンをかざしてアポを確認すると、『二十一階へどうぞ――』と丁寧な命令が下された。
嫌な気分を引きずって最上階に向かうと、すぐ横には警備員が立っており、正面では秘書が姿勢良く待っていた。業務的な挨拶を交わし【会長室】のプレートが掛かった扉の前へ連れていかれ、ノックを三回。
「会長。ヒバリさんがいらっしゃいました」
と、こちらもまた事務的な発声。「どうぞ」とか細い女声に合わせ、秘書が開けてくれた扉の先には、白い着物と薄紫の袴を合わせた女が黒塗りのチェアに座っていた。女は古びた紙切れに目を落としていたが、溜息のあとそれを
外した老眼鏡を仰々しい一枚板のデスクに置き、
「遠いところを、ありがとうございます」
と、柔和な一笑を向けてきた。この最上階の絨毯よりも柔らかい笑みは、どこか百戦錬磨で、気を抜くと簡単に取りこまれてしまいそうだった。同時にヒバリは、キャスト・アウェイ会長――ロス・ブラインドの姿に目を疑った。
もみあげの長い銀色のふんわりボブには黒いメッシュが入っており、どこの美容院にどれほどの頻度で通っているのかと、余計な詮索をしたくなるほどファンキーだったのだ。「よいしょ」と、腰を上げたブラインドは非常に小柄で、背丈は140cm半ば。顔付きはどう見てもヒバリよりも年下で、けれども和服がしっくりくる立居だった。
「お掛けになって」とブラインド。言われるままヒバリは、応接用のソファに座ると、彼女も斜め前に腰を下ろした。
「
「ただの平社員が、なぜ会長のお眼鏡にかなったのか――」
ヒバリがやんわりと言及しようとすると、
「いえ、貴女は優秀な社員ですよ。では、手っ取り早く用件を申し上げます」
ブラインドはそれを上書きするように本題へと入っていった。見た目に寄らず、かなり我が強そうだ。――会長の座に居るのだから、当然か。
「貴女には、とある人物に届けてほしい物があるのです」
「つかぬことをお伺いしますが、それは郵便屋さんの仕事では?」
「郵便局員は銃を所持していますから」
「なんの話ですか?」
「いえ、届けてほしい方が住所不定なんです。現場第一ですから」
「その人物とは?」
「――
「あぁ、ラズワルドさんか。彼女なら何年か前に仕事でご一緒しましたよ。みんなが冗談めいて『山神』なんて呼んでいる方ですよね。あの人、家ないんですか?」
「山が家みたいなものですから」
「まさかぁ、本当に山神なんて言う気ですか」
「――そんな彼女に、こちらを渡してきてほしいのです」
肯定も否定もせず、ブラインドはヒバリのおどけた様子を聞き流し、長方形の木箱をテーブルの上に置いた。大きさは縦5cm、横15cmほど。自分で渡せば良いのに――とは言えず、何度か頷いて表向きの『意欲』だけは見せておいた。
「わたしは以前、誰かもわからぬ者の受け売りで会社の
ブラインドが一拍置いた。ヒバリはそれを訊ねず、ただ次の言葉を待った。
「同胞の不穏があれば、その悪の萌芽を摘む。わたしは今まで、何人もの仲間を葬ってきた。そして、それは今も変わりません」
そうしてブラインドが掲げた、誰よりもなによりも不穏なビジョンに、また適当な頷きを返した。「誰かを始末しろってことですか?」と、面倒事に慣れきった口調で。
「今回、貴女にはこちらを届けてほしいだけです。そもそも、しかるべき時に同族を始末する者は、ほかにおりますので」
「どちらにせよ、いつか汚れ仕事に従事しろ――という圧力は伝わりました」
ヒバリはぶっきらぼうに返し、木箱を通勤カバンにしまうと、早々に帰宅ムードを醸し始めた。こんな重苦しい空気、何分も味わってはいたくない。
「あと、そちらを渡す時にお伝えください。『もう離さないで』と」
「忘れなければ」
「貴女は忘れませんよ。このためだけに来ていただき、本当に感謝しています」
「無駄に出張費もらったんで、美酒&美味を堪能してから帰ります。花金ですし」
「わたしは貴女に逢えて、ほんに善かった」
退室する間際、ブラインドはあたかも今生の別れのように、ヒバリの手を強く握り、じっと見つめてくるのだから、その灰色の半眼に吸いこまれそうになった。
ロビーへ降りてゆくエレベータの中、ヒバリはふと疑問を抱いた。彼女は果たして何歳なのだろうかと。
――雪でも降り出しそうな、灰色の月曜。
出社したヒバリは、支部長から社用車のキーを預かり、ラズワルドが居るという神社を目指して、山の中の県道を進んだ。目的地の駐車場に車を停めると、ハッチバックのドアを開け、右脚を踏み出した瞬間から冷気を感じた。北関東支部と同じ市内なのに、寒さは段違いである。
一礼して白い鳥居をくぐり、敷かれた大きな砂利を鳴らしながら、木々に囲まれた参道を歩いた。確か十数年前も、ラズワルドはこの辺で油を売っていた記憶がある。奥の社殿へ進む間も、パンプス越しの足先が凍りそうだった。
これでラズワルドに出会えなかったら、労働基準監督署に駆けこんでやろう。ひとり苛立ちを覚えていると、目線の先にシルエットが浮かび上がった。
社殿の前で天を仰ぎ、白い息を吐き出す人物――その容姿は三十をまたぎそうな風貌。白いワンピースは膝丈で、上に青いトレンチコートを羽織っており、ミドルブーツもストッキングも一般的な黒地だった。頭に乗ったグレーのベレー帽は、美麗ではなく可愛らしさを強調している。背丈はヒバリより低く、150cm半ば。口元のほくろが、妖艶さを醸す女性で――
「あら、ヒバリ? パワースポットの神社にお参りですか?」
「あのねえ、神なんか居るわけないじゃないですか。って、あれ? ラズワルドさん、着物やめたんですか?」
「くふふ、時代は洋装ですよ?」
「いやいや、だいぶ遅い気がしますが?」
「して、本日は何用? あっ、きっと厄介事ですね? くふふ……」
「疑問符多くないですか? そうじゃないことを祈ります」
ヒバリは、ラズワルドとの再会に少し興奮しながらも、
「とりあえず先にコレ渡しときます。ブラインド会長から貴女へ、愛を込めて」
と冗談めいて、白と灰桜のツートンカラーをした通勤カバンから箱を取り出し、そっと手渡した。不意に触れた手は――とにかく冷たかった。
「
「じゃなかったら、わたし……ささくれますよ? わざわざ東京まで行ったのに。あぁ、それから伝言を預かってきました。『もう離さないで』だそうです」
「あら、爆弾でも入っているのでしょうか」
「だとしたら、
文句も程々に、ラズワルドはどこか嬉しそうに木箱を開けると、中から一本のメガネが現れた。細くも青々としたフレームに、ツルの部分は白のグラデーションが施されている。
「くふふ……これはこれは」
ラズワルドは特徴的に笑い、ポケットからスマートフォンを取り出すと、
「本当よく見える。電話帳が」
メガネをかけて、さらに笑みを深めていった。
「いやいや、電話帳以外もありますよね!」
「くふふ、わたくしの電話帳はほとんど登録がないから見やすいのです。そうだ、ヒバリには仲間や、ご友人は居るの? 電話帳はいっぱい?」
「え? い、いや……ほら、選別したんで。居ないような……居るような」
急に問われたヒバリは、目を泳がせた。
仲間というものは、数より質である。
例えば――チョビひげおじさん。
あとは――自身に満ち溢れた勝気な女。
オフィスのふたりとは何十年も連れ添っているが、仕事を押しつけてきたり、厄介事を察知してすぐ逃げたりと、その言動を思い起こすと、手放しで仲間認定はしたくなかった。むしろ向こうは、『仲間』とか『友』とか思ってくれているのだろうか。
考えるだけで不安になる。
「ラズワルドさんは? 山で暮らしてると、なかなか交流がないのでは?」
そうしてすぐに、話を相手に振ってしまう。ヒバリは昔から特殊な体質ゆえ、自分のことを話すのは好きではなかった。
「わたくしは、彼女の――ロスさんの友人にはなれなかったのです」
「そんな悲しいこと言わないでくださいよ。貴女も創業メンバーなんですよね。会長とは苦楽を共にして、ここまで来たんじゃないですか?」
「創業者は、あとふたり居たの。たった四人で始まった会社だった。幸いにも、わたくしは山に
「んー? なんか後半おかしいぞー?」
詳しいの一言だけで、山の開拓を進めてしまうラズワルドは少し――いや、かなり不可解な生き物だ。
「また周辺のインフラを整え、近隣の農民とも契約し、農業を拡大。次第に輸送は舟から列車、車へと変わってゆきました」
「なるほど。残りのふたりは?」
「たとえ老けない、寿命が長いと言っても不死身ではありません」
ヒバリは返答はせず、現在の自分と照らし合わせた。最近では、暴飲暴食を自主的に控えるようになっているので――つまりそういうことだ。
「それに正直、この老眼鏡は……わたくしに届かないと思っていました」
「なくしたんですか?」
「いえ。わたくしの老眼が始まったのを知って、ロスさんが一緒に選んでくださったんです。その帰りに晩ご飯を食べて……本当に楽しかった。ふたりでお買い物をしたのは、それが最初で最後でした」
「え? 不仲になっちゃった……とか?」
「老眼鏡ができる間、わたくしは東京へ出張していたのです。その際、運悪く大きな災害に見舞われまして。それで、できる限りの人助けをしているうち、ロスさんとも疎遠になってしまったのです」
ヒバリは詳細を聞くのを躊躇った。彼女を悲しませたくなかったからではない。たぶん、自分が嫌な思いをしたくなかったからだ。
「あぁ、その時の老眼鏡がコレなんですね」
「えぇ。けれど……あの時、わたくしは大して人を救えませんでした。人が焼け死ぬのをただ見ていた。言ってみれば、今もそうです。この山の人間さえロクに救えない、ダメな山神なのですから」
「いや、ラズワルドさんは悪くないでしょ――って、やっぱ山神なんですか」
ヒバリの一言に一笑を返し、ラズワルドは端末をポケットに入れ、外した老眼鏡を木箱にしまった。
「……たぶん、自分ではもう救えないと思っているから。いっそ、誰かがわたくしを始末しに来てくれればラクなのですが。くふふ……」
「縁起でもない。そうなっても、わたしは助けられませんからね」
「畢竟、人を救えるのは人だけです。仮に浮世に『神』を語る不届き者が居たら、それは限りなく人間に近い化物です。あぁ、化物と言えば――ロスさんの体液は、生き物をドロドロに溶かしちゃうんですよ」
「食虫植物かっ! ラズワルドさん、たまにとんでもない嘘つきますよね」
「くふふ」
――寒い。ヒバリはそれは口にせず、
「んじゃ。わたしも老眼鏡買わないといけないんで、そろそろ帰りますね」
本来の目的を思い出し、別れの口上に使用した。なにより、周りがそれを愛用していると、自分まで物欲に支配されそうになる。
「やった。ヒバリもついに、ババアの仲間入り――」
「って、誰がババアじゃい! 貴女に言われたくないから! 絶対わたしより年上でしょ! だぁ、もう……寒いから帰ります! 風邪引かないように暖かくして寝るんですよ! まったく……」
「ヒバリ、お母さんみたい」
「誰が肝っ玉カーチャンじゃ!」
「それは言ってない。なにはともあれ、ご友人は大事にしたほうが善いですよ。いつお別れが来るか、そして道を違えてしまうかは、わかりませんから」
「長年ずっと一緒に居ると、よくわからなくなる。近くが見えなくなるというか、本当にあの人たちは仲間なんだろうかって」
俯いたヒバリは、ただ独り言のように白い息を吐き出した。
「色眼鏡――」
「え?」
ヒバリは顔を上げ、その言いかけた言葉を聞き返そうとしたが、彼女はすらっとした後ろ姿を見せ、肩越しに顔を向けていた。
「くふふ。大丈夫、ヒバリはみんなに好かれてるから」
「だと良いんですが」
山の風は底冷えする。平気な顔をしていたラズワルドだが、度々わずかに表情を歪ませていたので、だいぶ我慢していたのだろう。
「じゃあヒバリ、また来てね?」
ラズワルドが寂しそうに笑い、山の中へと歩いていった。ヒバリは、あまり来たくない――と言いかけ、「忘れなければ来ます」と目を細めたあと、同じように背を向けた。
「忘れないですよ、貴女は」
ラズワルドの確信に対し、なぜだかわからずに口元を緩めていた。互いの背中が離れても、ずっと。
帰りの車内。FMラジオから流れるクリスマスソングをぼうっと聴きながら、もう年末なのだと思い出した。人間は大晦日になると、わけもわからず惰性で神に祈る。概念だけの『神』に祈り、救われた気分になれれば世話がない。
本当に神が居たら、人間を救ってくれるのだろうか。
それとも、逆に――
週末。
「ウメ先生、メガネ買いに行くから付き合って!」
「ウメって呼ばないで……。てか、老眼鏡でしょ? 眼科は?」
「行った行った。先生にドン引きされた」
「お若いのに嘆かわしい……! って?」
「ううん。昭和一桁生まれだったから」
「いや、そっちかい!」
友人を無理矢理ショッピングに誘った、どこにでも居るOL――ヒバリは、百歳を迎える前に悟った。歳を取ると、近くが見えにくくなる。それは人生経験に比例し、視野が狭まっているだけだと。
けれど目まぐるしく変化する浮世で、その視界をクリアにしてくれるのは老眼鏡でも色眼鏡でもなく、他人の水晶体――異なったレンズであると。なぜなら、自分では見えない物を映し、それを別の角度から教えてくれるのだから。
「でも、あたしの水晶体も衰えたら、ヒバリちゃんと一緒に老眼になるわよ?」
「アホー! 綺麗に締めたのに、身も蓋もないこと言わないでよ!」
了
現代の処世術 常陸乃ひかる @consan123
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