憧れの眼鏡が紡ぐ、甘酸っぱい青春ラブストーリー。

本作は、眼鏡を通して芽生える若者たちの恋心を、爽やかに描き出した物語である。

主人公の少女は、眼鏡への憧れから「夢色眼鏡」を手に入れる。その眼鏡は、彼女の潜在的な願望を映し出す魔法のアイテムだ。

一方、彼女に想いを寄せる少年もまた、彼女の言葉に後押しされ、眼鏡を身につける。

二人が眼鏡を通して互いを見つめ合うシーンは、ときめきと笑いに満ちており、読者をして微笑ましい気持ちにさせずにはおかない。

そこには、見た目や外面ではなく、本当の相手の姿を見つめようとする若者たちの真摯な眼差しが感じられる。

眼鏡は単なる小道具ではなく、人と人とを結びつける象徴となっている。

淡々とした語り口の中に、思春期特有の機微を巧みに織り込んだ筆致は見事だ。

軽妙洒脱でありながら、どこか切ない青春の風景を鮮やかに切り取った良作だろう。