世界は黄ばんでボンヤリしてるくらいがちょうどいい
笹 慎
メガネ屋での一幕
もう300リワードまで残り800字である。メガネ屋でのノンフィクションなエピソードでも披露して乗り切りたい所存だ。
私、笹慎はとても目が悪い。どれくらい悪いかというと、裸眼の視力検査で「あ~、自分一番上も見えないです」って事前申告するレベルで目が悪い。
正確な裸眼視力は忘れたが、眼科で視能訓練士さんが「C」の文字を持ってだんだんと近づいてきて、何メートルでそれが見えるようになるか、といった検査をされた際に「へぇ」と思ったものだ。
また、視力も悪けりゃ、乱視もまぁまぁ酷い。夜道で車のヘッドライトは万華鏡である。というわけで、生命の危機なこともあり、メガネは必須アイテムだ。
学生の頃は見かけを気にしてコンタクトレンズもしていたが、眼科で「ドライアイだから、あまり頻繁につけない方がいい」と言われて、確かにコンタクトレンズはぐったりと疲れてしまうので、最近じゃスーパー銭湯くらいでしか装着していない。
(先日、泡ぶろで片目のコンタクトレンズを落としたが)
そんなわけで、メガネとは「人衣一体・鮮血(cv.関俊彦)」な間柄なのであるが、あまりにメガネの度を強いと今度は眼精疲労で酷い頭痛がする。実に面倒な体質である。
ただ幸いなことに、仕事はPCでの事務作業だし、帰ってからもスマホ見たり、PCで小説書いていたり、本を読んでいたりと、身の周り半径1メートルくらいがちゃんと見えていればよく、あとは死なない程度にボンヤリ見えていればよい。
よって、私の普段使いのメガネは、かけても「視力0.3」程度しか見えないように作ってある。しかしながら、メガネを作る際は、メガネ屋で往々にして「本当にこれでいいのか」と何度も確認される。
そりゃまぁメガネ作りに来て「あんまり見えないのが欲しいんです」って言うトンチキな客は少ないのだろう。
(なお、映画館用に1.0見えるメガネも持っている)
また、寝てる時間以外、ほぼPCかスマホを見ている生活なので、ブルーライトカットをレンズに入れているが、カット率が高いレンズで見る世界は若干黄色がかって見える。たまにコンタクトレンズを入れて、この世界を見てその白さに驚いたりする。
(なんだか、こういう言い方すると詩的だw)
正直、加齢現象なのか、近年、白い光が酷く眩しく感じる。目が痛い。
(サングラス買おうとしたけど、あまりにも似合わなくて止めた)
以上のことから、私が注文するメガネは「黄色がかって見えて、ついでにあんまり見えない」というメガネ屋からすると、些か不思議なメガネとなる。
先日、新しいメガネを作りにメガネ屋を訪れたところ、初々しい感じの女性店員さんが担当してくれた。おそらく私のようなトンチキな客の相手は初めてだったのだろう。自己都合でのレンズの作り直しには追加料金がさらにかかることもあり、何度も「これでいいか」確認をされた。
あまりに何度も確認されるので、別にその店員さんを困らせる気はなかったのだが
「世界は多少、黄ばんでてボンヤリ見えるくらいがいいんすよ」
と言ってしまった。噓偽りない私の気持ちではあったが、あまりにも想定外の客の発言だったためだろう、テンパった店員さんは困り果てた顔で、こう返してきた。
「……そんなことないです。……素敵な世界です……」
なんだろう。この「世界に絶望したダークファンタジーの主人公と健気なヒロイン」のような会話は(苦笑)
変な空気になったので、早く会計して一刻も早く私は帰りたかったが、店員さんは動揺しているのか注文伝票の作成にやたら時間がかかった。
***
以前から友人達によく「表現が独特すぎる」といった指摘を受けてはいましたが、この件でいたく反省し、私は通常の生活ではなるべく変なことを言わないように気をつけようと肝に銘じました。
以上をもちまして、私のKAC2024の〆とさせていただきたいと思います。
じゃあの!
世界は黄ばんでボンヤリしてるくらいがちょうどいい 笹 慎 @sasa_makoto_2022
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