第17話

「ここだ。アレク入るぞ」

アーノルドはドアをノックしてから開ける。

「なんだ?……ってアーノルドじゃねえか……」

(うわっ……すげえ貫禄のジジイだ……まるでゴブリンチャンピオンが子供に見えるぐらいムキムキなジジイだぜ……)

イラーリは横目でアレクと呼ばれる人物を見る。

彼は机で執務をしているのか、ペンをもって書類を書いていた。

 初老を超えてはいる白髪まじりの人物だが、年齢は老いても威圧感は衰えていない。

そして、圧倒的な筋肉の大きさ。

まるで東洋にいるという鬼というモンスターみたいだとイラーリは思った。

「辞めてから数ヶ月で来たと思えば、若え女を2人連れて自慢か?」

アレクは笑いながら、頭をかく。

「いいや、ドア閉めるぞ。二人とも入れ」

アーノルドはイラーリとカトレアにそう言うと、ドアの鍵を閉めた。

「アレク、見ても何もするなよ……カトレアさん……出して」

カトレアは包んでいた花を見せるとアレクはすかさず、立ち上がって杖を突きつけた。

「おい、アレク。何もするなって言ったろ」

「そうだぜ。ジイさん!このカトレアさんは被害者だぜ!」

とイラーリもアーノルドもカトレアを庇うように前に立った。

「ふっ……カトレアと言った嬢ちゃん……お前、運が悪いな」

アレクは杖を下げて机に置く。

「俺もよくない。何で絶滅させたはずの、この花がまた栽培されている……」

アーノルドはアレクに尋ねた。

「はっ、まだ知っていて、栽培しようと考えていたやつがいたってことだよ!」

アレクは苛立ちを交えて答えた。

「そこでだ。こいつを運搬していようとしているやつがわかるまで、この娘を保護して欲しい」

そのアーノルドの言葉にイラーリとカトレアは驚いた。

国の軍という国家権力に絡むほどの大事。

その事実を突きつけられたのだ。「そ、そこまでの事態なのですね……」

カトレアはこれから起きる事に不安そうに呟いた。

「ああ、いいぜ、一週間ぐらいでいいか?」

「一週間って……なんかヤベえやつがいるんだろ!そんだけしか守ってくれねえのか!?」

アレクの答えにイラーリは勇気を出して反抗する。

「俺の母ちゃん言ってたぜ!うちの国の兵士は規律と人情を大事にして!みんなから慕われている最高のやつらだって!そう聞いていたのに、なんで……」

イラーリは少し顔を落とした。

「なぜって……明後日には討伐隊が出るからな。もう完璧に足取りは掴んでいる」

 その返答にイラーリとカトレアは「は?」と呟いた。

「んあー、あった。カトレア·マルチネス。運び屋リストに入っているし、ちゃんと保護リストに入っている。ってかアーノルド。お前が来なくてもギリギリのタイミングでちゃんと人を使わせたぜ。まあ、こっちから行かずに済んだから、儲けもんだがな」

「ちょ、ちょっとまて、ヤベーやつらが悪い事をしているんだろ!そんなに簡単に終わるのか?」

イラーリはそう言うが

「あったりまえだ!おじちゃん……軍団長で超有能だから……」

その言葉と共に見開かれた目にイラーリは震えてたじろいだ。

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早期退職した最強おっさん兵士がFランク冒険者としてセカンドライフを始める物語 TKあかちゃん @tktottuan

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