【KAC20247】色ボケ昔話「おおきな、カ・ブ」

人生

 いったいナニが起こっているのだろうか……




 昔むかしあるところで、男の子がカブの種を植えました。


 すると、大きなカブが出来ました。


 男の子は一人、手で抜こうとしましたが、カブはあまりに大きくて硬く、なかなか抜けません。


 男の子には三人のお姉さんがいましたから、まず一番歳の近いお姉さんに手伝ってもらうことにしました。


「がんばれっ、がんばれっ」


 下のお姉さんは力いっぱい引っ張りましたが、やっぱりカブは抜けません。

 代わりに、お姉さんの腰が抜けました。足腰立たなくなってしまいました。


 そこで一番下のお姉さんは、真ん中のお姉さんに手伝ってもらうことにしました。


 真ん中のお姉さんは大きな道具ものを使って、カブを挟みました。一番下のお姉さんは動けないので、口だけで応援します。

 真ん中のお姉さんは前後左右に激しく動かして、まわりの固い土をほぐそうとしました。


「いけそう?」


「もう少しで、出そう……!」


 土が掘り返されたことで、白いものが出てきました。カブは見た目よりもっともっと大きかったのです。だけどやっぱりカブは抜けません。


 そこで真ん中のお姉さんは、一番上のお姉さんに手伝ってもらうことにしました。


 一番上のお姉さんはカブの、反り返って"かさ"のようになっている部分に狙いをつけました。ロープを持ってきて先を輪のようにして、カブを輪の中に入れました。ロープを引っ張り、カブを引き抜こうというのです。


 一番上のお姉さんがロープを引っ張ります。運動会の綱引きのようです。

 真ん中のお姉さんは道具ものをカブの根本に押しつけました。地面に突き刺し、テコの原理を活かそうとします。


「もっと奥まで突っ込んで!」


 一番下のお姉さんはやっぱり口で応援します。


 すると、


「出る……!」


 地面から白いものが飛び出しました。


 そうです。カブが抜けたのです。


 男の子とお姉さんたちはすっかり疲れ果ててしまいました。


 その夜、お姉さんたちは、男の子とカブをみんなでおいしくいただきましたとさ。



                        めでたし、めでたし――



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【KAC20247】色ボケ昔話「おおきな、カ・ブ」 人生 @hitoiki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説