あいあい
まれ
あいあい
僕、
普通の家庭に生まれ、普通に育ってきた。
というわけではない。
実は施設育ちだったりする。
聞いた話によると、生後間もないころに母親に施設の回収ボックスに入れられていたらしい。
実に酷い話だ。
母親はなんの責任を負うことなく僕を産み、消えた。
どんな人だったかもわからない。
ただ、一つだけわかっていることがある。
それは、名前だ。
”せいら”という名前は母親がつけたのではないかという話も聞いたことがある。
なんでも、産まれる前に作られたであろう服に”せいら”とひらがなで刺繍がしてあったらしい。
漢字は施設の人がつけたと聞いている。
と言ってもこの話自体かなり大きくなってから聞いた。
施設の育ての親と呼べる人は小学一年生のときにも言ったらしいのだがそんなことは全くと言っても良いほど記憶にない。
学校の宿題だったらしい。
僕にはあまりそこは響かなかった。
それともう一つ。
みんなには苗字があるが僕にはない。
施設が戸籍として登録したものはあるが、それは名前というより所属という感じだ。
僕に与えられた苗字は”
これは僕がいた施設の親団体の影響によるものだ。
親団体は『社会福祉法人 れいんぼう』というらしい。
そこの団体の保有する施設のうちの一つ、藍のらんど。
それが僕のいた施設の名前だ。
他の施設にも色がモチーフだと聞いていて、世界各地にあるらしい。
世界規模の団体だということになる。
まあ、今は団体ともあまり関わりはない。
たまに手紙がポストに入っていたりするくらいで特に返信することもしない。
藍井星羅。
これが僕の戸籍上の名前である。
だから、僕は普段から星羅と名乗ることが多い。
藍井は僕の名前じゃないから。
施設が抱えるこどもの数が多いからか、施設を出る年齢が決まっている。
12歳だ。
つまり、小学校を卒業すると同時に施設から出るということになる。
中学からは一人暮らしをする子が多い。
中学の三年間の生活費を支給されるが、その後は一切ない。
そのため、高校の進んだとしてもバイトは必須である。
ほとんどの施設の出の者は就職するという話を聞いた。
そんな感じで今まで暮らしてきたのだ。
特に幸せというものを感じずに暮らしてきた。
そんな僕の人生を変えて、色を変えてくれたのが君だった。
僕は”
あいあい まれ @mare9887
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
青と黒/まれ
★0 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
青と黒/まれ
★0 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます