高スペック王子がそのもてる全てで主人公を狙ってくる

 下町の代書屋で働いている主人公エステルの元へ、幼い頃共に過ごした経験のある王太子アーバインが訪ねてきて…という導入。
 没落してからそれなりに年月の経っていることもあって、下町での生活をそれなりに、結婚や恋愛などは諦めつつも、謳歌しているエステル。
 そこへ王太子の地位のあるアーバインが唐突に訪ねてきて、これまた唐突に結婚を申し込む。シンデレラストーリーのはずなのですが、エステルが地に足のついた女性で「そんな事を突然言われても困る」といった態度を貫いて物語が進んでいきます。

 進んでいくのだけど…それを己の知力、権力、財力等々もてる全てでこじ開け、外堀を埋め、真綿で首を絞めるようにじわじわと追い詰めていくアーバインの終着っぷりに笑っちゃいました。
 王宮に舞台を移してなお続く、二人の知恵比べ、腹の探り合いが楽しい。最終的に割れ鍋に綴じ蓋、とばかりに納まる所に納まった結末も、ほっこりしました。