黒き少年は魔王の夢を見るか?

亀岡たわ太

第1話 黒き少年の黒バラ貴賊

 俺の大月音黒(おおつき ねくろ)、中学2年生。厨二病である。世界が暗黒に染まりし時我は異界の地に呼ばれる。白き女神アディーネかの女神は我は言った。


「世界をお救いください!」


 未開の地に降臨せし我は黒バラの貴賊になりパラダイナ王国に出づる。


 要は地球に住んでいた。俺は何でか死に異世界転生女神と交渉。いまは聖王国パラダイナ王国に身を潜めていた。





 王国パラダイナ。聖王国と呼ばれる大国である。


「王様、魔王を倒した勇者ダイキ様です。」


 パラダイナ王国、城の玉座の間兵士が王様に報告する。王様は微笑む。昨日、勇者ダイキにより魔王は倒された。ダイキ達はその報告のため城に立ち寄った。勇者達は王に謁見した。


「おお、勇者ダイキよ!! 此度はご苦労様だった。褒美を遣わそう。何なりと言ってみよ!!」


 勇者ダイキ一行は王に会釈して膝まつく。勇者は、


「パラダイナ王国。イデア王。私達はこの国にパーティー分の家が欲しい。」


 王様は少し沈黙の後高らかに笑う。


「そんな事か。そのぐらいならすぐ用意出来よう。今宵は宴じゃ。2、3週間王宮の部屋を勇者達に用意しよう。遊んで行くが良い。」


 勇者ダイキ達は首部を垂れて礼を言う。


「王様。ありがとうございます。」


 その様子を俺大月音黒は王の間の外の窓から覗っていた。そして俺はつぶやく。


「闇が巣食う時俺は動く。」


 これは何かあるなと。俺は思慮に耽る。





 勇者を讃える宴はパラダイナ王国で3週間続いた。勇者達は大いに楽しんだ。


 その裏で王国の地下では神官達が慌てふためいていた。兵士達も忙しない。ある儀式の準備がパラダイナ王国の地下で行われていた。黒バラの俺は地下に忍び込み地図を作成していた。


 勇者が国外れの町へ旅立つ時が来た。勇者ダイキ達は少し静かな町が好みのようだ。


 王国の地下の儀式は今日が儀式始めのようだ。


 夜が来る。私のターンだ!!





 王国の地下最奥部、儀式の間大きな広間大きな魔法陣の前にパラダイナ王、イデア王がいた。


「この時を私はどれ程待ち侘びたか。いよいよだ! いよいよ我が願いが叶う!!!!」


 パラダイナ王国の地下迷宮で暗黒の儀式が取り行われようしていた。王は勇者ダイキから渡された魔王を倒した証魔王の右手を魔法陣の中央に置く。魔法陣が赤黒く輝き出す。イデア王は魔王の右手を生贄に魔神を呼び出そうとしていた。


 我の闇の深淵。俺は儀式が始まる最中颯爽と儀式に乱入神官と神兵複数レイピアで刺し殺す。兵達の悲しき悲鳴が地下空間に響き渡る。王イデアは叫ぶ。


「貴様ッ!! 何者だッ!! 儂の望みを断ち切るのかッ!!?? 勇者ダイキの仲間かッッ!!??」


 地下神殿の柱の闇から俺は言う、


「俺は貴賊大月音黒、パラダイナ王国の市民には黒バラと呼ばれている。我のイービルアイはお前を捕らえた。イデア王よ。ここで何をしてるのかな?? 暗黒の我にも見せてくれ、王の闇を。」


 王は声を押し殺して笑い出す。


「クックック、盗賊ごときがッ!! このパラダイナ王の望みに立ちはだかるかッ!!??」


 どうやら神官では歯が立たないと思いイデア王が自ら大剣を取る。イデア王は聖王であり、剣の達人である。イデア王は神官に遣わし聖剣パラダイム大剣を振りかざす。


 俺黒バラはレイピアで応戦する。暗黒の儀式は進む。


 イデア王の大剣は俺のレイピアを物ともせず押してくる。俺は軽やかに避ける。


 イデア王は俺を蔑む。


「何故貴様は儂の願いを退ける。貴様にその権利はない。去れ!!」


 俺は、


「イデア王よ。何故魔王の右手を使って魔神を呼び出そうとする?? それはお前を新たな魔王とするのにッッツ!!!!」


 イデア王は顔を歪める。チイィーッツ!! と吐き捨てる。


「それが儂の望みだからだ!! 儂が魔王になれば、ミディア王妃とルミアがもどってくるッ!!!!」


 俺は悟った。


「聞いた事がある。パラダイナ王の王妃と王女は魔族に殺され今も魂は魔界に囚われたままだと!!」


 王は怒る、今も知られたくない事実にようだ!!


「去れ!! 儂は今宵より魔王となり皆の元にいく。さらばだ!! 哀れな盗賊よ!!」


 イデア王は力の限り大剣を振りかぶる。俺はイデア王の懐に瞬時に飛び込みレイピアで胸を一突き。王の胸から血が吹き出す。


「何故、儂の言うことが分からない。儂は人として正しいはずだ…………。」


 イデア王が絶命する寸前暗黒の儀式が完成する。魔法陣の中央に巨大な魔神が立ち上がり魔神がイデア王に尋ねる。


「我を目醒めさし者よ!! お前は何を望む。」


 死に際のイデア王は絶命の叫びを唱える。


「我に魔王の力をーーーーーーっっつ!!」


 魔神は答える。


「ならばくれてやろう!! 永遠の闇を!!!!」


 絶命したイデア王の骸に闇がまとわりつく。闇に包まれた王は地下の暗黒の儀式の間の天井まで大きくなる。


 広い神殿の天井まで、ここまでとは。俺は王の胸を突いた後冷静に考えていた。胸糞悪い。自分の家族のために魔王になるだ!!?? 人として正しいだ!!?? 俺は地球では底辺だった。みんなに悪者だと罵られた!! だがこうも言われた、他の人に迷惑をかけるなと。イデア王よ、お前は何でも持ってるなあ。権力と地位があれば何でも許されるとでも??



 ああ、胸糞悪い!!!!!!!!


俺は思う、故に闇あり。俺は魔法を詠唱した。


「とこしえの闇を喰らう者。出よッ!!」


 俺の右目に手をやると右目が赤く光り出す。俺にも闇がまとわりつく。そして俺の陰からメイド姿のサキュバスが来る。そいつは赤い目で若い女性の紺色髪だった。


 俺はサキュバスに経緯を説明する。


「イデア王は魔王になった、まだ自我が芽生えてないようだ。今のうちの沈めるぞ!!」


「ご主人様。アレを使うんですね!! ミミ! わっかりましたっ!! ご用意しまーす!!」


 巨大な王はまだ意識がない。こちらを探せてないようだ。俺は新たな詠唱をする。


「黒き右手、紅き右目、白きレイピアに誓う。かの者を倒す力を」我に!! 魔力の根源を剣に捧げるッ!!」


 レイピアが黒き衣を纏い大剣になる。魔法剣エクスキューショナーだ!!



 グおおおおおおおおおおおおおおおぉおおおおおーーーーーーーーー!!!!!!


 魔王イデアは雄叫びをあげる!! 俺とサキュバスメイドミミは怯まない。


「行っつっくっつぞおおおおっつ!!!!!!!」


 サキュバスミミは曼荼羅のような全方位全属性重複展開魔法陣を展開!! 全属性魔法攻撃×9999を放つ!!


「てィっ!!!!!」


 地下神殿爆轟の中サキュバスが空中を踊り狂う。


 ガガガガガガガガーーーーーーーーー!!!!!!


「グガガガガガガがあああああああーーーーーーー!!!!!!」


魔王イデアは耐えきれず膝から崩れる。


 そこに俺のエクスキューショナーソードを振り下ろす。俺が考えた通り戦闘はものの数分だった。


 イデア王が意識を取り戻したのは俺に倒された後だった。


「ば、バカな……。こんな事が出来ていいはずが……。勇者ダイキ以上だと……!! そんな奴が、この王国に……。」


 魔王イデアは倒され元のイデア王に戻る。倒れているイデア王に俺は悪態をつく。


「覚えとけ!!これが黒バラの貴賊大月音黒。二つ名は黒き勇者だ!!!!」


 イデア王、


「そうか、覚えとこう。」


 そのままイデア王は眠った。







 この出来事は王国には広まらなかった。イデア王は死なず、全てを忘れたかのように次の日から公務をしていた。


 俺とミミは旅だった。まだ魔王の骸は残っている。新たな魔王が生まれる前に対処するため、魔王城に向かった。その後を知るものは居なかった。闇は闇に消えた。



                            終わり

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