memory

シナプスが焦げ付くように メモリが焼き尽けばいいのに

逃げても逃げても貌のない過去が 

鎖で私を呼び戻すの

嘘だと知りつつ騙されて 

蜘蛛の糸に縋り堕ちていく 

惨めな私よ埋もれていけ

報われぬ孤悲(こい)よ 土に還れ


足跡が雪に消されるように マントルにデータが沈めばいいのに

疼く瘡蓋が膿を持ち 

じくじくと私を垂れ流すの

裏切られると知りつつ手を取って

蜘蛛の糸に縋り堕ちていく 

どうせ叶わぬ願いに夢を見た

愚かな心よ 潰(つい)えていけ


澱んだ森に撒かれた種は 

誰にも知られず芽吹きゆく

探して 探して 私を探して

求めて 理解(わか)って 受け入れて

そのくせ あなたの温もりに脅えて 逃げる私を 

「捕まえて離さないで 汚いこの身に口づけて」


水面(みなも)の月に縋りつく 惨めなメモリよ沈みゆけ

偽りの愛に縋り堕ちていく 無惨な存在理由(レートル)よ錆びていけ

どうせ消えない瘡蓋なら 偽りに気づかぬ私となれ

幸福なメモリが擦り切れるまで 再生(リピート)し続け朽ちていけ


廃墟で独り笑む 抜け殻となれ 

魂の抜けた 肉塊となれ

風に散りゆく 遺灰となれ

 

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