木の幹が緑色に、葉が茶色に見える。
見た目には違いが見えずとも、確かに別の世界を生きているかのよう。
色覚異常を持つ作者様が、例を交えてその実態と意見を分かりやすく伝えるエッセイ。
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兼ねてより思ってはいたのだが、この作品を読んでより深く思った。
もう「普通」や「一般」という言葉を引き合いに、それ以外を区別するやり方には限界があるのだ。
病名における「障害」は英語で「Disorder」――すなわちOrder(秩序)がDis(欠いた)の状態ということなのだが、
元より秩序が思ったよりも括れていなかったということなのだろう。
作者様も伝えているように、自他を問わず、目に見えない「違い」は想像よりずっとあって、
それを理解するステップ抜きでは、いつまでも障害や異常、特殊という言葉のもと、離れたコミュニケーションが行われてしまうのではと危惧している。
違いを「是正」しにいくのではなく、互いに見つめ合うような機会が今後求められていくのだろうと思った。