あべこべの世界

「ねぇ!男女平等なんだから、あなたも家事してちょうだいよ!」


「おい、男女平等なら重たい荷物を持たせるなよ」


「ねぇ、今どきプリンセスに夢見るって弱いわ」


「おい、今どき男が女を守るって考えは古いぞ」


――世間がなんて言っても、結局キツイ仕事は男に押し付けられてるんだから、少し休ませてくれよ


「ごめんごめん、わかったよ。とりあえず、洗濯と掃除は俺がやるから」


――男女平等って言ったって、生まれ持った体の仕組みはどうしたって違うんだから無理でしょ!


「ごめんね。次はもう少し控えるから今日は持ってくない?お願い!」


――好きなものを好きでいて何が悪いの?好きなものを否定することが今の正解なの?今の強さなの?


「いやぁ、マジそれな。今どき、助けられるの待ってるだけのお姫様なんてウケないよねぇ……」


――俺は昔からそう育てられたし、そういう父親を尊敬してる。古いって言われたくないんだけど……


「だよなぁ。男だからって女を奢るのもおかしな話だし、男女平等バンザーイってなww……」


 これはぐちゃぐちゃで、汚い世界だね。

 みんな体裁と本心を天秤にかけて、建前で本音を隠して、自分を殺して平穏を守ってる。

 どれだけの人間が自分を殺しているんだろう?

 どれだけの人間が本当に死んでしまうんだろう? 


「まるであべこべで不幸せな世界だね」


 そう言って、かつて美しかったカラスが笑った。


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分ければ虹色、混ぜれば真っ黒 うめもも さくら @716sakura87

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