化け物達
くだらない行為中にある男の顔を思い出す。
その男はまるで酷く傷付けられたような顔をしている。
私傷付いてなんか無いよ、辛くなんて無いのに。
そんな悲しそうな顔をしないでくれ、なんで貴方が苦しむんだ。
行為自体に傷付いてもないし、心が壊れそうになる事なんてもう無いんだよ。
やめて、そんな目で見ないで。
貴方の中の私はこんな事をしないのだろうね。
こんなのでごめん、貴方を好きになってしまってごめん。
私は行為でしか自分を確立できない。
私は貴方に近付いちゃいけない、貴方が汚れてしまう気がする。
こんな事でしか自分という線引きが出来ない私。
私は私が奇麗じゃないことぐらい分かっている。
陰からひっそり見るしかできない。
貴方は貴方を幸せにしてくれる人と幸せになって欲しい。
私じゃない、断じて。
貴方と幸せになりたいと思った事など数え切れない程ある。
貴方の隣に立ちたい、貴方を幸せにするのは私、貴方の笑顔を一番近くで見ていたい、貴方が辛い時隣に居たい。
幾度そう思ったか。
どうしようもなく好きだし、一緒に居たい、ずっとずっと話していたい。
でも自分自身が許さないし、許せない。
言い訳でしかないと思う、でもこれが最善だと思ったの。
ただ好きな人なのにね、恋人でもなんでもないただの片想い。
片想いの癖に貴方の隣に立ちたいなんて言っちゃって思っちゃってごめんなさい。
貴方は人とあまり接触しないように生きてきてて、私からの好意も受け取りずらそうだった。
でも好きになっちゃった、恋に落ちてしまった。
あんなに離れていようと思ったのに、まだ隣に居たい。
気持ち悪い。
目の前で上下に揺れてふとした時に顔を近づけて来るこの男も。
どうでもいい男とセックス中に好きな男を思い出して感傷的になる私も。
同じようなものだ、同じ醜い化け物。
心から憎んでいるくせに、結局根本は同じなのだなと目の前の男が絶頂を迎えると同時に考えついた。
本当に気持ち悪い。
感受性 潤 @Uxuki
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