終章 「世界」の色(西京大学教授:黒川健児)
その後、私は衛生局と協力し、赤井家の周囲を国有地化することにした。
中にいる赤井聡氏は監視しつつ積極的に関わらないよにする。
彼宛の郵送物は役所が預かり、定期的に届けるようにしている。
この様に彼を隔離して分かった事は、あの隕石が運んできた物が聡氏を始めあの屋敷の物を変貌させたこと。 そしてあの隕石の落下点から半径500メートル以上外に出ると、変貌したものは崩壊していく。
恐らく落下点の地中には隕石と一緒に落下した何かが埋まっており、それの作用で本来この世界では生きられない、あの二次元的存在が活動できているのであろう。
少なくとも今はこの範囲が広まることも無ければ、かの存在達が外へ出ようとしていない以上、我々は静観に徹するべきだと思う故、我々は観測し続けている。
この件で変わったことと言えば、聡氏は退職したという。
会社の方針として原則、リモート業務が終了しどの社員も週1は必ず会社へ出社することが義務付けられたからだ。
彼はそれに反発し会社を辞した。
しかしイラストレーターとしてそれなりに名の売れていた彼である。
フリーランスで活動を開始した。
彼の描くデフォルメしていながらリアリティのある画風は人気を博し、ゲームにアニメその他で引っ張りだこだという。
そんな彼は何年かに一度、個展を開く。
そこには普段の色使いと異なる極彩色で描かれた一連のシリーズが展示されている。
「The Hue Out of Dimensions」と題されたそのシリーズは自宅の庭とそこからつながる幻想的などこかの世界での冒険を描いたストーリー仕立てになっているという。
私はその話を聞く度に常々思う。
彼は体験した内容を描いているのではないかと。
そしてその旅の案内人はあの時見たシャボン玉の様な存在なのではないかと。
二次元の色彩 -The Hue Out of Dimensions- サイノメ @DICE-ROLL
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます