【短篇】精霊さんの大戦争
笠原久
あじさいを取り返せ!
「しょくん! いよいよ
と、言ったのは台のうえに立った
どんな
精霊さんは、人間さんをマネッコしているのです。べつに犬さんネコさんでもよかったのですが、精霊さんは人間さんの姿がお気にいりなのでした。
そして、ここにいる精霊さんはみんな、
ヘルメットをかぶって、みどり色の
なにせ、これから
といっても、人間さんがするような、
そもそも精霊さんは
とはいえ、
「さぁ、しょくん! しゅつげきだ!」
と、台のうえの精霊さんは力強くあじさいを指さします。あじさい――漢字では「
精霊さんたちが
ところが、数年前に
このままではいけない! 帝国の精霊さんたちは、うばわれた土地を取り返すために、がんばって今日まで
「しゅつげき」の
ライフルが火をふき、戦車の
とはいえ、音は
これは、
なにせ帝国軍は、ずっとまえから準備をしてきたのです。戦う準備をしていなかった共和国があっさり
とはいえ、これで
帝国のあじさいをうばったのは、共和国なのですから。きっとまた、うばい返しに来るでしょう。帝国軍はあじさいに
――――――――――――
さて、そんなふうにして帝国軍と共和国の大戦争が起きていたときのことです。
「あら?」
と、きれいな、わかい女の人が
「どうしたんだい?」
と、わかい男の人が、女の人のそばにやってきます。ふたりは
「見て、あなた……今年は青い花が咲いているわ」
と、女の人があじさいを見て言います。そう、たしかに、きれいな青い花をさかせていました。
「ここに来たばかりのときを思い出すね」
男の人がそう言います。そう、この夫婦がやってきたときは、あじさいは青い花をつけていたのです。
「でも、そのあとすぐに赤い花に
「
「赤いあじさいもきれいだったけど、青いあじさいもいいわね。なにか
「きれいならそれでいいじゃないか」
ふたりは
精霊さんは人の目に見えませんから、なにがあったかは人間さんにはわからないのです。土はいろいろな条件で変わりますから、かならずしも精霊さんがあらそっているとはかぎりません。
でも、いつもと
【短篇】精霊さんの大戦争 笠原久 @m4bkay
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