ショートパンツの金髪ギャルと、ロングスカートの黒髪ボーイッシュ人妻

椎名富比路@ツクールゲーム原案コン大賞

ショートの彼女、ロングなあの子

「なんかさ、ボーイッシュがミニスカを穿いてくるとさ、トキメクよね」


 道行くボーイッシュミニスカJKを喫茶店から眺めながら、私はマチさんに告げた。

 

「わかるマン。内田有紀とか」


 古っ! 平成全開すぎる。


「発想が古い。さすが元平成レディース」


「ユリナちゃん、ひどい。でも上戸彩とか剛力彩芽とかもいいよね」


 そっちも、地味に古い。


「でも、あっちはマニッシュじゃね? ドキドキはしないかな」

 

「ロングスカートでビシッ! って感じよね。ジャケットの色もピンクなんだけど、なんか中性的なの」


 あーっ。それなら、わたしもわかるマンかも。


「ねー。じゃあ、さ。お互いに服の決め合いっこしよ」


 お互いどんなコーデにするか、考えてみたい。

 

「いいわね。じゃあね、一時間後に落ち合おうか」


「おけまる」


 わたしは洋服店で、マチさんに似合いそうな服を選ぶ。


 マチさんは一児の母で、ショートヘアだからなー。

 女っぽさを出しつつ、ベージュロングスカートでいってもらおうっと。



「マチさんは、わたしに合う服って、選んできた?」


「もちよ。じゃじゃん、と」


 マチさんが選んだのは、大胆なデニムのショートパンツである。

 上は青と黒のニット、下は黒のニーハイブーツを履け、と。


 では、試着室へGO。

 

「えっと、こんな感じかしら?」


 マチさんが、先に試着室から出てきた。

 ピンクジャケットとロングスカートが、見事にマッチしている。


「いいね。バッチリじゃん」


 これを連れて歩けるダンナさん、そこ変われって感じ。 


「あなたもね。サイドポニーでまとめたのね」


「そうそう。普通のポニーより、小顔に見えるっしょ」


 お互いに、服の感想を褒め合う。


「ありがと、ユリナちゃん。息子が生まれたのにママ友と寄り添えなくて、でもあなたのようなお友だちが近所にできて」


「いいって。何かあったら言ってよ」


「帰りに、たこ焼きをごちそうするわね」


 そこはカフェっしょと思いつつ、遠慮なくいただく。

 

 ああ、どうして人妻なんだろ?

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