「黒色」比べ

奈那美(=^x^=)猫部

第1話

 突然ですが、私は地黒です。

小説のヒロインとして描かれることが多い「抜けるような白い肌」には縁もゆかりもありません。

父親はどちらかと言えば白めの方だったので、これはきっと母親譲り。

いや、それが悪いわけではないですよ?

そりゃ、真っ白な肌の持ち主の方に憧れはしますが。

ないものねだりをしても仕方がないので、私は私だと思っています。

 

 ところで。

私の小学校時代のことです。

多分三年生か四年生だったと思います。

夏場の体育の授業と言えば『水泳』です。

体育といえばプールで、しっかり日焼けします。

ある時、担任の先生が言いました。

「夏休み明けに、日焼け比べをやるか!」

 

 小学校のプールは夏休み中も解放されています。

かけっこだったり勉強だったりではクラスメイトに太刀打ちできない私は張り切ります。

一応自己弁護をしておきますと、勉強はクラスの真ん中くらいにはいたと思います。

運動は、三月生まれでみんなよりも小さかったので勝てる要因が少なかったのです。

唯一張り合えたのは、縄跳び。

 

 本題に戻りまして、張り切った私は毎日のようにプールに通います。

ほかのクラスメイトも同じように通ってたと思います。

そして夏休み明けのある日、担任が日焼け比べをするぞと言いました。

もう九月ではありますが、当時水泳大会を行なっていたので九月も水着を持って行ってたのです。

 

 水着に着替えて、男女別になり身長順で数人ずつ教室の前方に並びます。

パッと見で日焼けしていない人がふるい落とされていきます。

私は順調に残り続けました。

そしてとうとう私とOさんとの二人で決勝です。

焼け方の見た目は、二人とも同程度で甲乙がつきません。

 

 そこで担任が言いました。

「二人とも黒板の方をむいて、どちらの肩でもいいから水着をずらして」

ふたりとも水着の跡が見えるようにすると、先生が言いました。

「奈那美の方が焼けていると思う者は手をあげて」

「Oの方が焼けていると思う者は手をあげて」

まさかの多数決。

 

 「二人とも、こっち向いて。……結果はOの勝ち」

特に景品が出るわけではないけれど、なんだか残念な気持ちで自席に戻りました。

……あとから気がつきました。

見た目が同じくらいなら、んだと。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

「黒色」比べ 奈那美(=^x^=)猫部 @mike7691

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画