第2話 彼女の真意と絶望

 そう言い残し、ドンドン下へ進んでいく。

 少しの苛立ちを魔法に乗せて、撃ち込んでいく。



「塚本さん。取ってきたよ」

「わあ。ありがとう」

 大介は、当然だが、彩の事が好きで下心も満載。

「カウンターへ行って値段を調べよう」


 宝玉はスキルを得ることができる。

 その効果により、値段が全然違う。


「はい。コレは体力プラス一の宝玉ですね。引き取りは五百円となります。使用なさいますか、それとも売却をなさいますか?」

「売却で」

 スキルの宝玉は、十階を越えてくるとおまけとしてドロップする。

 そのため、ポイント系の宝玉は安い。


 高いのは本当にスキル系である。


「ごめんね。また行ってくる」

 大介はもう三週間通っている。


 彩のお父さんが、お金に困っているのは本当。

 そのため、青い鳥に目を付けたが、お父さんから許可が下りなかった。

 コレも本当。

 だが、危険があるため、彩は屑な考えをした。


 チョロそうで、体力があり死んでも悲しくない男。

 そんな奴に、声をかけた。


 三人ほど。

 だが五階への到達には意外と時間が掛かる。

 そのため、翌週も声をかける。


 ただ、イレギュラーな祐介と違い、申込用紙を渡してお願いをした。

 困っている私を助けてと。


 祐介は最初から、思わず名前呼びをするくらい、意識していたし好きだった。

 だから、ギルドにも一緒に行ったし、当日も申し訳なくて見送りに来た。


 だが、企みはバレた。

 一番バレてほしくない相手にあっさりと。


 そして、祐介はいくにんかの、クラスメートを見ながら、あっさりと五階の最奥。

 ボス部屋へとたどり着く。


 中で誰かが戦っているらしく、列が出来ている。



 その間に他のハンターに聞くと、ボスを倒せば六階に抜け、転移石に触ると登録される。その石は五階ごとにあり、一階はなぜか下へ降りる階段脇にある様だ。


「そうなんだ」

「だから、登録をすれば、次からはいきなり六階へ飛べるぞ」

「それは便利。おっ空いたようだ。頑張って」

 そう言って見送る。


 ブルーバードは、五十センチほどの青い鳥が、上空から襲ってくるらしい。

 計三羽。それを倒せば終了。


「ホームランを打てよ」

 さっきの彼は、俺の持つバットを見てそう言った。


 十分ほど経つとドアが開く。


 バットは、肩に乗せたまま、怒りを乗せ、雷撃を放つ。


 一瞬で三羽は燃え尽き、ダメージボーナスなのか三つ共に宝玉が出た。

 それは、『治癒』『鑑定』『空間』どう見てもバグっぽい。


 素直に下へ降りると、六階から一階へと飛ぶ。


 考える。

 この技術はどれも、今のスキルでは、扱えないもの。

 ひょっとして、宝玉は、自分の持っていないものが、素養に応じて出るのかもしれない。

 もう一度、一階から二階へ降りて、周回を開始をする。


 そしたら、『剣技』だとか『体術』とかが混ざりつつ、鑑定と治癒がダブった。

 それだけを、カウンターへと持っていく。


「鑑定と治癒どちらも、高額となります。一般の銀行口座への入金も出来ますが、ライセンスカードへチャージも出来ます。それで金額が鑑定が一千万円。治癒は現在五千万円です」

「ではチャージで」


 それ以外の宝玉は、すべて、使おうかと思ったが手が止まる。

 使ってしまい、でなくなると損失が大きい。

 誰かが検証しているかもしれない、調べてからにしよう。


 そして思い出す。自分のスキル。


「それと最初のレベルアップで、スキルが出ました」

「おめでとうございます。スキル名はマルチマスター。日本語だとなぜかお達者者となるんですが」

 そういうと、カウンターのお姉さんが踊り出す。


「少しお持ちください。そして、あの…… 彼女がいないなら私と付き合いません?」

「保留で」

「まあいいや。少しお持ちください」


 そうして、日本で初めてのマルチマスターらしくて、ギルドのワールドワイド広報誌へ登録された。

 ギルドの構成員は、公人扱いでプライバシーはないらしい。



 そんなことになっている頃。


 彩はクラスの男達に囲まれていた。

「いえ、お願いしたのは、確かです。でも、もてあそぶとかじゃなく…… お金に困っているのも本当だし」

「じゃあ前払いだ。気持ちが本当かどうか、証明して貰おう。騙して金だけ取ろうと考えたんじゃなければな。俺達は、君が困っているから力を貸しているんだ。ホントに困っているなら、多少は我慢できるよな?」

「そうだな。証明して貰おう」

 そう言って、彼女は亜引っ張って行かれる。


 俺は、カメラに囲まれ、その事に気が付かなかった。


 そして、彼らとの行為の中で、聞かされたらしい。

「うん? 最初に気が付いたのは、多分佐藤だよな」

「そう、祐介だよ。奴が聞いてきたんだ。お前に宝玉を頼まれなかったかってな」

 それを聞いて、何とか我慢していた彩は絶望をする。

 こんなのは、お礼。一回すればなどと思っていた。


「そんなっ。祐介くんに」

「すげえ悲しそうな顔をしていたぜ」

 そこで、彩は祐介に嫌われたことを理解する。


 よくあさ、ニュースで時の人になった祐介の事を知る。

「何処で間違ったんだろう……」

 彼女は後悔をする……

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KAC20246 トリあえず、彼女と青い鳥を探す 久遠 れんり @recmiya

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