第2話:緊急事態
カズとティナ、ライはベルトを外し、ルーラの元に集まり調査結果を聞いていた。
「じゃ惑星を覆うガス膜は有害ではないんだな?」
カズからの問いに席に座り機類を操作しながらルーラは頷く。
「ええ、そうなんです隊長。放射線探知と重力探知の結果によるとガス膜は無害、重力は地球に酷似しています」
更にルーラはディスプレイを操作し、別の探知結果を出す。
「まだ降下しないと分かりませんが、超高高度での空気成分の探知結果だと空気レベルは正常なんです」
その結果を聞いたカズ、ティナ、ライは共に驚く。
「
慌てた口調で問うカズにルーラはプラスチック製の水筒のキャップを取り、水を一口飲むと答える。
「ええ、恐らくは」
「すぐにトウヤに連絡する!こいつは物凄い偉業だぞ!」
カズは興奮した様子で操縦席に戻り、無線のスイッチを入れ、無線機を掴む。
「ファルコン・リーダー!ファルコン・リーダー!応答せよ!こちらファルコ
「はい、はい、こちらファルコンー・リーダー。ファルコン
食べながら応答するトウヤにカズは軽く溜め息を吐く。
『おい!トウヤ、食ったまま喋るな!』
カズから指摘されてもトウヤは陽気な気分は崩さなかった。
「ごめん♪ごめん♪腹減っちゃって。で、何か分かった?」
『ああ。衛星軌道で分かった限りだと、ここの開拓は人類宇宙進出の歴史を変えるぞ』
「何だよ♪勿体ぶらずに早く言えよ♪」
トウヤは持っていたフライドチキンに齧り付くと同時にカズは言う。
『どうやら惑星の環境は地球と酷似している。もしかしたらテラフォーミング・システムなしでの開拓移住が可能かもしれない』
それを聞いたトウヤは雰囲気を変え、慌てながら足を下ろし、持っていたフライドチキンを機類に置かれた四角の紙箱に入れる。
そして紙ナプキンで手を拭くと目の前のキーボードを操作する。
「もし、それが本当ならウチはは人類史上で初となるノー・テラフォーミング・システムでの移住開拓をする事になる。成功すれば俺達は偉業者として歴史に名を遺せる」
カズは操縦席に座り、無線を聞きながら真空パックの封を開ける。そしてプラスチック製のフォークを入れる。
「偉業については俺達は興味ない。だが、ライバル企業を出し抜いてイワテツ社の株を上げる絶好のチャンスなのは分かる。細かい調査は降下してからだな」
『確かにそうだ。あと二十分で降下だ。もっと細かな調査データを期待しているぜ』
「分かった、任せとけ。ファルコン
『ファルコン・リーダー、アウト』
通信を切ったカズはフォークを回し絡めたツナタラコパスタを食べ始める。
■
カズの他にティナ、ライ、ルーラも真空パックを開けて祖国の料理を食べていた。
「しかし、いいわね。私、宇宙の光景でこれが一番好きなの」
操縦席に座るカズも同感する様に笑顔で頷く。
「ああ、俺もだ。この光景を見ていると不思議と落ち着く」
すると食事を終えたルーラが画面を見ると
「カズ!まもなく降下ルートに入るわよ!」
それを聞いたカズは彼女に向かってサムズアップをする。
「ああ、了解した」
カズ、ティナ、ライは急いで食事を終え、席に着きベルトを付ける。
「ファルコン・リーダー、こちらファルコン
『こちらファルコン・リーダー、了解したファルコン
カズが無線ヘッドホンを使ってトウヤに報告していると、接近警報が鳴り響く。
「ルーラ!何があったの?」
ティナからの問いに焦る様にルーラは答える。
「分かりません!でも何かが急速に接近中!」
すると突然、
無線で聞いていたトウヤも慌てる。
『おい!ファルコン
カズはエンジンの出力と翼の操作、更にバランス・ブースターを使って回転を止めて、機体を安定させる。
「よし!ライ!機体ダメージをチェック!ルーラ!機体に衝突した物体をチェック!」
カズからの指示にライとルーラは急いでチェックする。
「衝突した物体は左翼を直撃!しかし、機体装甲には致命的ダメージはなし!配線や油圧系統も問題はありません!」
「衝突した物体は磁力を持った隕石!
二人の報告を聞いたカズは真剣な表情で頷き、次にカズにティナは指示を出す。
「ティナ!至急!ファルコン・リーダーに連絡!俺は計器に異常が無いかを調べる!」
ティナは頷き、無線を入れる。
「了解!カズ!ファルコン・リーダー!ファルコン・リーダー!応答願う‼こちらファルコン
『ファルコン
ティナはヘッドアップディスプレイを操作し、機体に起こった事とダメージを報告する。
「降下ポイント近くで
ティナの報告を聞いたトウヤはホッとする。
「了解したファルコン
『了解、ファルコン・リーダー。ファルコン
「ファルコン・リーダー、アウト」
トウヤは無線を終えると彼は右手に持っていたコーヒーカップに入ったコーラを飲む。
隕石と衝突した
「よし!間もなく重力圏内に入るぞ。ライ、カウント
「了解!カズ」
ライはキーボードを操作し、スタンバイをする。
そしてヘッドアップディスプレイに表示されたタイマーをカズは声に出す。
「
ライはすぐに重力コントロールのスイッチを入れる。すると機体はいきなりガクッと前屈みに機体が傾く。
「うわぁ!何!ライ!何があったの?」
フィナの問いにライは頷き、すぐにキーボードとタッチパネルを操作し、原因を確認すると画面に映し出された電子系統の一部が激しく赤く点滅し小さいブザーが鳴り、ライは驚く。
「フィナ!カズ!大変よ‼重力コントロールシステムが作動エラー!機体の制御が出来ないわ!」
それを聞いたカズ、フィナ、ルーラは驚愕し、カズは舌打ちをして急いでバランス・ブースターを操作する。
「くそ!さっきの隕石の衝突で起動システムがイカれたのか!何とか!バランス・ブースターで機体を維持する!」
カズはそう言いながらバランス・ブースターを噴射し轟雷は何とか機体を維持させようとしたが、上下に激しく動き正しい降下ルートに合わせる事が出来ずにいた。
「くそ!機体が安定しない!メーデー!メーデー!メーデー!こちらファルコン
ファナからの緊急事態にトウヤは大慌てになる。
『何!突入は中止だ!すぐに進入コースから離脱しろ!』
「トウヤ!カズだ!それはもう無理だ!すでに惑星の重力に捕まった!」
カズの言う通り、
「ライ!貨物ベイの上部ハッチを開けて車両と燃料、それと食料を捨てる!緊急ロック解錠の用意!」
カズからの命令にライ、フィナ、ルーラは驚く。
「カズ!冗談でしょ!いくら機体を安定させる為に食料を捨てるなんて!」
「カズ!ライの言う通りよ‼機体を軽くするのに食料も捨てるのは自殺行為よ!」
「フィナ!ライ!カズの判断は正しいわ!早く機体を軽くしないと私達は大気圏の摩擦熱で焼き死ぬわよ!」
ルーラからの指摘にフィナとライは瞬時に納得し、すぐに準備をする。
そしてライは急いで準備を終えた事を大声でカズに伝える。
「カズ!貨物の緊急ロック解除の準備よし!」
ライの方を向きながら頷き、ディスプレイを操作し貨物ベイの上部ハッチを開ける。
「ライ!行くぞ!
ライはディスプレイ画面に黒と黄色の枠内に英語で表示された『
すると貨物ベイに乗っけてある二両のジープと食料が入った二つの機械的な箱を固定していた床のロックが外れジープと箱は宇宙空間へと放出される。
ジープと食料が放出された事によって機体は軽くなり安定する。
「よし!安定した。フィナ!コックピットのブライドシールドを閉じてくれ!」
「了解!カズ」
フィナは操縦桿の前にあるスイッチを操作し窓の上から黒色でシャッターの形をした合金製の壁が降りて、
あとがき
いよいよ未開の惑星への降下です。
降下シーンはSF映画、「アバター」にスペースプレーン、「ヴァルキリー」が衛星「パンドラ」へ降下するシーンをイメージモデルにピンチを加えた話となっています。
バットカンパニー ーBAT COMPANYー IZMIN @IZMIN
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