あとがき

 


 献身とは愛情という名の皮を被った最大かつ最悪の自己都合の押し付けである。なんて感性の私がそれを中心に据えた話を書いた割には丸く収まったので本作とは、いいものだろうと思っています。個人的には。愛情という言葉が嫌いな割には。


 人間を人間たらしめているのは理性であると考えているので、客観性の欠けたものは大凡嫌いですし価値を見出すにもかなりの困難を覚える訳ですけれども私も人間なので、理屈抜きの言動を取る事は多々あります。つまり現実的には人間を人間たらしめているものとは矛盾なのかもしれません。理路整然を好む身としては自己嫌悪が止みませんが、どうしたって人間は機械にはなれませんし、私も機械になりたい訳ではありませんから、この先もこの矛盾とは、イライラしながら付き合っていく事にします。


 能書きが長いですね。要は、「好ましく思ってなどいないが切り離す事も出来ないものなんかを主に長編を一本書いた割にはいい出来になったので、嬉しくなんてないけれど悪い気分でもないよ」って事です。実はインターネット上ではこの心情をたった四文字で表せる便利な言葉が、随分と前から生まれていたそうですね。ツンデレとか言って。私に最初にこの言葉を向けた友人を、いつか殺そうと思っています。


 でも人に何かされるのは本当に苦手で、「もしかしてこの人……。私の事好きッ……!?」なんて思考になる自己愛過剰な人間の気が知れません。本気で言ってんのそれ? どうお返しすればいいか分かんなくて気が滅入るんだけれど。無償の愛なんて不平等の押し付けだし、愛と呪いに違いなんて、本当にあるのかよ。でも私だって人ですから、お得な事なんて無いのに誰かに優しくしたりするんです。寧ろそれを人道だと固く信じて重んじてる。たとえ些細な事しか出来なくても、困ってる人を見て見ぬ振りするなんて、自分が恥ずかしいと思う生き方したくないって。アー……。矛盾ですね。頭痛がして来るのでこの辺にします。嫌いですよ。愛情なんて。


 閲覧センキュー。また会えたら嬉しい。


 よい一日を。



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【完結】神管《しんかん》 木元宗 @go-rudennbatto

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