トリあえずダンジョンもの～謎の建造物にトリあえず入ってみたら、トリあえずが使えるようになりました～

第5話 トリあえず当然？

　あの鬼みたいなヤツ以外の化け物は見当たらないな。

　あいつ以外は、みんな鳥なのかな？

　ん？

　また下り階段があるぞ。

　さて、どうしようかな？

　ちょっと行ってみるか。

　地下三階にやって来た。

　ここも上と変わらない洞窟なんだな。

　では、探索するとしようか。

　何もないな。

　ここも鳥しかいないのだろうか？

　まあ、安全で良いことか。

　『トリあえず』は素晴らしい能力だなぁ。

　ん？

　この岩、金っぽいものが含まれてないか？

　まさかこれは金鉱石なのか！？

　よし、掘ろうっ！！！

　おおっ！！

　かなりの量があるぞ！！

　これは掘りまくるしかねぇなっ！！

　あれ？

　この岩にあるのは、ダイヤモンドの原石じゃないか！？

　これも掘るしかねぇなっ！！

　いやあ、採れた、採れた！

　バックパックが一杯になってしまったぜ！！

　これで俺も大金持ちだな！

　売った金で何をしようかな？

　ああ、夢が広がるなぁ！！

　さて、売りに行こうか！！

　いくらになるか楽しみだなぁっ！！！

　中身ダンジョンの仮設トイレから出た。

　さて、どこで買い取ってくれるのかな？

　調べてみよう。

　おっ、あったぞ！

　意外と近くにあるんだな！

　よし、行ってみよう！

　金とダイヤモンドの買い取り店にやって来た。

「すみません、これを買い取っていただけませんか？」

　俺はレジにいる老年男性店員に話しかけた。

　そして、レジに金鉱石とダイヤモンドの原石を置いた。

「かしこまりました。では、査定をしますね。あっ、これは……」

「えっ？　あ、ああ、それは怪しいものではありませんよ！　中が洞窟になっている仮設トイレみたいな建物の中で見つけたものですよ！！　決して盗品ではありませんからね！！　間違いなくうちの敷地内で採掘したものですよ！！！　調べてもらっても良いですよ！！！！」

「あっ、いえ、そういうことではありませんよ」

「では、なんですか？」

「実は、いま、金とダイヤモンドは買い取っていないんですよ」

「ええっ！？　なぜですか！？」

「あの場所から大量の金とダイヤモンドが採取されまして、そのふたつの価格が大暴落したんですよ。ですので、こちらはお持ち帰りください」

「えええええええええええええええええええっ！？」

　だ、大暴落！？

　そ、そんなバカなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ！？

　家に帰って来た。

　ああ、夢も希望も失った……

　これからどうすれば良いんだ？

　……ちょっと絵を描いてみようかな？

　なんかそんな気分だ。

　画材を買ってこよう。

　よし、買ってきたぞ。

　では、さっそく描いてみようか。

　ああ、なんか絵を描いていると癒されるなぁ。

　これも能力の影響なのかな？

　どうなんだろうな？

　よし、描き終えたぞ。

　都と鯉（こい）と蛙（かえる）の絵だ。

　おおっ、改めてみると、自分で描いたとは思えないくらいうまいな！

　さすがは超能力だ！

　いや、これは超能力ではないんだっけ？

　ちょっと確認してみよう。

　トリあえず、ステータスオープン。

　あっ、これは法術だったな。

　なんか楽しくなってきたから、もっと描こうか！

　次は兎（うさぎ）と里と蛙（かえる）の絵を描いてみよう！

　おおっ、こいつもうまく描けたな！

　もっともっと描きたくなってきたぞ！

　では、次は鳥肉の和（あ）え物の絵を描こうか！

　いやあ、描いた、描いた！

　どれも相当うまく描けたな！

　大満足だ！！

　ん？

　もしかして、これ、売れるんじゃないか？

　どうなんだろう？

　ちょっと気恥ずかしい気もするが、買い取ってくれるところを探してみようかな。

　おっ、発見！

　結構、近くにもあるんだな。

　行ってみようか。

　絵の買い取り店にやって来た。

「すみません、これを買い取っていただけますか？」

　俺は老年男性の店員に絵画を渡した。

「かしこまりました。では、査定を行いますので、少々お待ちください」

「分かりました」

　店員が絵を見始めた。

「こ、これは素晴らしいですね！」

「えっ！？　本当ですか！？」

「はい！　これは一億円ですね！！」

「えええええええええええええええええええっ！？」

　こうして俺は、絵で大金持ちになってしまった。

　めでたしめでたし。

　おしまい。

　おまけ。

　ん？

　あの鬼みたいなヤツの情報が載っているぞ。

　ちょっと見てみるか。

　な、なんだってっ！？

　あいつに豆を投げ付けると死ぬだと！？

　な、なんじゃそりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ！？