「突然の告白は人間の特権で。」

地崎守 晶 

突然の告白は人間の特権で。

「嗚呼、貴方こそわたしの描いた理想の存在!

 磨き上げられた体、冷たそうに見えて熱い眼差しをたたえる眼、エッジの効いた顔立ち、はっきりと聞き取れるバリトンボイス!

 身長も体重も完璧、スタイルも抜群。

 貴方以上にわたしをたぎらせる相手はいないわ!

 ああ、今すぐ貴方のたくましい腕で抱きしめて!」


それはあまりにもありふれた、しかし熱烈な愛の告白。

ありふれていなかったのは……。


 「こう言う時は、惜しみない称賛と好意をもらったことに感謝すベきなのだろうね。

 しかし、しかしながら、まずはお互いニお互いの事を知っていクところから始めるべきではないダろうか。

先ほど君が褒めてくれた要素は全テ変更可能な外付けなのだかラ。

トリあえず、前提としてキミに知っテもらいたいので言うトだネ。

 僕はハイエスト・チェア・インダストリー(株)の所有物であリ人工物であり、つまりハ、」


彼は正確さで知られる頭脳に生じた混乱を抑えながら、まずはそう発話した。


「実は僕、人間じゃないんだ」

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「突然の告白は人間の特権で。」 地崎守 晶  @kararu11

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