忘れ去られるべき警句

鹽夜亮

第1話 忘れ去られるべき警句

汝、海を畏れ給え。

大地の母の絶対と、その移り気を知り給え。

とある神の忘れられた腕力を思い出し給え。


死を恐る勿れ。

血を恐る勿れ。

喪失を恐る勿れ。

万物は巡れり。


恐るるべきはただ己のみと知り給え。

己こそ世界と呼ばるる鏡像の観測者也。

だから君、時間を畏れ給え。

だから君、忘却を畏れ給え。

だから君、現実を畏れ給え。

ラカンの見た現実をこそ畏れ給え。


そう、だから君。

この警句を、願わくば忘れ給え。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

忘れ去られるべき警句 鹽夜亮 @yuu1201

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ