みんないっしょに遊ぼうね!

西しまこ

みかんの木の根元で♪

 あたしはね、にし・シマコ。

 今日はね、にわ・トリちゃんと遊ぶ日なの。みか・リンもいっしょだよ。

 

 シマコが待ち合わせ場所のみかんの木のところに行くと、みか・リンはもう来ていて、リンリンって胸の鈴を鳴らしてスキップしていた。

「ねえ、にわ・トリちゃんは?」

「まだみたい」

「早く来ないかなあ」

「早くいっしょに遊びたいよね。――あ! あのね、あたし、今日みんなでいっしょに食べようと思って、おやつ持って来たの!」

「なになに?」

「くるみとドライフルーツ!」

「きゃーん、おいしそー!」


 にわ・トリちゃんはなかなか来なかった。待ちくたびれたシマコとみか・リンは、おやつのくるみとドライフルーツをぽりぽりと食べた。

「何食べてるの?」

 声がしたので顔を上げたら、つき・モリ女王だった。

「あのね、くるみとドライフルーツだよ。食べる?」

 みか・リンが袋を差し出して、つき・モリ女王はにっこり笑ってくるみをとると、ぽりぽり食べた。

「おいしい!」

「でしょう⁉」

 つき・モリ女王が「おいしい」言ったので、なぜかシマコはドヤ顔で応えた。持って来たのは、みか・リンなんだけど。


 三人で仲良くぽりぽりと食べていると、なんだかきらきらした気配に包まれた。

「きらきらしてる!」

「きれい!」

「星みたい」

 シマコと、みか・リンと女王がきらきらの出て来る方を見ると、きら・キラ王子がいた。

「きら・キラ王子!」

「王子って、ほんとうにきらきらとしているんだねっ」

「ねね、キラ王子もくるみとドライフルーツ、食べる?」

「僕はおいしいものが好きだからね。いただくよ」

 キラ王子はきらきらの星を飛ばしながら応えた。

 わあ、すごいなあ。このきらきら、持って帰りたいな、とシマコは思った。


 みかんの木の根元でみんなで並んで、くるみとドライフルーツを食べた。くるみとドライフルーツは、食べても食べてもなくならなかった。

「ねえ、みか・リン。このおやつ、どうしてなくならないの?」

「ふふふふ。この袋に入れておくとね、自動的に補充されちゃう仕組みなんだよ」

「へえ。誰が作っているのかなあ」

「なんかね、いちたん・イさんと、よど・ガワさんって人みたい。茶色いくるみはいちたんさんで、ドライフルーツは南国のよどさんだって聞いた」

「へえ。おいしいねえ」

「うん!」

 みんなでぽりぽり食べ続けた。


「それにしても、トリちゃん、おそいねえ」

「どうしたんだろうねえ」

「トリちゃんと会えないねえ」

 シマコがみか・リンと話していると、「呼んだっ?」って声がした。

「あ! とり・O・カンさんだっ!」

「芸術家の?」

「そうそう」

「きゃー!」

 あたしたちはレアキャラに会って、興奮してしまった。


「あのう、あたしたち、にわ・トリ会えずなんです。平仮名じゃなくて、片仮名のトリちゃん待っていたの、遊びたくて」

「へえ。……何食べてるの?」

「くるみとドライフルーツ! とりさんも食べる?」

「食べる食べる!」

 シマコとみか・リンとつき・モリ女王ときら・キラ王子と、それからとり・O・カンさんはみかんの木の根元で、ぽりぽりと、くるみとドライフルーツのおやつを食べた。

「おいしいね」

「止まらないね」


 北では茶色のくるみを作っているいちたん・イさんが、南ではドライフルーツを作っているよど・ガワさんが、一生懸命くるくる働いていた。くるくる踊りながら歌いながら、作っているんだよ。うふふ。

 

 にわ・トリちゃん、早く来ないかなあ。





   お・し・ま・い

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