800字に凝縮された人生。その先にある物語に思いを馳せてしまう

カクヨム換算では803字ですが、800字(原稿用紙2枚)で収めるのは流石です。
無理に、削ったり。後半、押し込んだりといった形もなく、スマート。

もともとは、図書館のストーリーライティングイベントでの作品。
写真をもとに、物語を書くというもの。

「ブランコ」「うなぎ」「手」
そのなかから「うなぎ」

これは、なかなか難しいお題と感じましたが、綺麗にまとめってしっかり読ませる印象。

料亭の臨場感もさることながら、人生のなかで失敗を思い返す。
本作は、聞き手である女性に自分の「物語」を伝える。それが報酬。そして……。

でも、何かが始まりそうな。
何かが変わりそうな、そんな予感を感じさせる物語。

作者様は、思い描いていたストーリーの一部を綴ったとのこと。ただ本作は、その先を感じさせて、いったんの一区切り。
でも、それが良かった。

生きていると挫折も失敗もたくさんある。現代社会は、思う以上に理不尽。
それでも、前を見る。前を進む。

以前と同じ道じゃなくても
歩める。

これは、その先にある物語に思いを馳せさせてくれる。
そんな物語でした。